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「そりゃそうだろ」も重ねれば変わってくるのか?

「話の上手い人になる7つのルール」みたいな記事を見かけるたびに、高確率で思うことがある。「そりゃそうだろ」という感想だ。
上記のタイトルは架空だが、こういうことを書いている場合、だいたいが「1.聞き取りやすくするためはっきりしゃべる」「2.相手の言葉を否定しない」みたいな内容を挙げていることが多い。
まあ、ぶっちゃけ発見はない。「何だって!俺の話が下手だと言われるのは、 はっきりしゃべってなかったからなのか!」とは思わないもんね。わかっちゃいるがそれがどうやったらできるのかという部分だと思う。
そこに対して分かりやすい説明やテクニックがあれば、タイトル的には「そりゃそうだろ」と思っても納得できるものになるだろうが。

「成績を上げるにはどうしたら?」という相談に対して
「勉強しろ」と答えて相手が「なるほどー」と思うのかということだ。

ちなみに「そりゃそうだろ」という話なのに妙に説得力が出るというパターンもある。
ある保険のCMで役所広司が
「そのままの方がいいものもあれば、変えた方がいいものもある。そう思いませんか?」
としゃべっていたのだが、これこそ「そりゃそうだろ」という話だ。これの逆を言うと「全部そのまま」か「全部変える」という極端な話になってしまう。
だが何回も見るまでそういった違和感は抱かなかった。これは役所広司の存在感のなせる技ではなかろうか。単に自分がボーっとしている可能性もあるが。

ただ上記のCMには別の狙いがあるような気もする。心理学テクニックみたいな話でよく出てくる「YESを重ねて好印象を作る」というやつだ。YESと答えるしかないような質問や雑談を重ねていると、最終的に商談に対してもYESと言いやすくなる、といったもの。
「そうだよね」と思いながら聞いているから心の受け入れ態勢ができているのかな。

このへん、占い等に使われる「コールドリーディング」にも共通するものがある。
だいたい誰にでも当てはまるようなことを言って、「すごく当たってる!」と錯覚させるテクニックである。
「なるほど、基本的には元気でも、誰かに話を聞いてもらいたくなる時もあるでしょうね~」
などと言われると「確かに~」と言ってしまいたくなる。まあそりゃ占い師のところに相談に来てるわけだから話を聞いてもらいたいのは明白だ。しかしこう言われて「だからココに来てんだろうが、当たり前のこと言ってんじゃねえぞ、ああん?」と返すような人はそもそも占いに来ないと思われる。
「当たってる~」「マジ神~」と言いたい欲がある、どっちかというと「当てられたい人」がいるから成り立っているのではなかろうか。

そう考えるとテレビのコメントやら広告メッセージやらでそういった「当たり前だと分かっていても肯定を狙う」というものは結構ある。「日本のスマホ代は高すぎる!」と言われて「そうだそうだ」となってたり。

先日出前館のCMを見ていたら「食べたい!が見つかる」というコピーが出てきて「ひと昔前の形式っぽいな…」と正直思ったのだが、もしかして肯定を引き出すのが一周してこのストレートさが響く世の中になってきているのかも?と考えさせられた。コンテンツ配信サービスで「見たい!が詰まってる」とか言いそうだし。
ポイントだけ切り取った短い動画がさらに倍速で再生され、ニュース記事は3行でまとめられているうちに「そりゃそうだろ」が「そうそう」と受け取られるようになったのかもしれない。

まあだからといって自分もその流れに反旗を翻すわけではないが。ただ個人的には漫才を1.5倍速で見てるのはワケわかんねぇとは思う。(うちの子など2倍速で見てゲラゲラ笑っているが)


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