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おすすめインディーズゲームレビュー 1  「Return of the Obra Dinn」

その船は長い航海を終えて還ってきた。だが、生きている人間は誰もいなかった…。

ちょっと前にセールになっていたこともあり、プレイしたのだがめちゃくちゃ先が気になりすぎて社会人だというのに1週間かからずクリアしてしまった。それがこのアドベンチャーゲーム、「Return of the Obra Dinn」である。読みはリターン・オブ・ザ・オブラ・ディンね、念のため。
主人公は調査員。長い航海から帰ってきたオブラディン号を調べ、船員がどこへ行ったのか、なぜ生きていないのかの調査を依頼されている。いきなり誰も生き残っていない船の上で途方もない話のように思えるが、主人公にはあるアイテムが託されている。それが懐中時計である。この懐中時計、持って移動すると、「場所の記憶」に反応するのだ。
ゲーム内では時計が反応する場所でボタンを押すと、そこで過去に何が起こったかを見ることができる。そして、そのほとんどが誰かの死ぬシーンであり、その状況から「誰なのか」「死因は何なのか」を推理していく。これが、ゲームの大まかな流れである。

で、これがめちゃくちゃ面白い。何が良かったのか、以下にポイントを挙げていこう。
もちろんネタバレはなし。先に言っておくが「これはゲーム実況動画で見たらもったいない!」ホントに。

1「徐々に明らかにされる引きのあるストーリー」
2「状況証拠からの推理が当たった時の爽快感」
3「レトロな雰囲気を醸し出すグラフィック」

1「徐々に明らかにされる引きのあるストーリー」
主人公にはあらかじめ調査報告書用のファイルが渡される。そしてそれはあらかじめ章立てとなっている。「一章:崩れた積荷」「二章:死に至る病」といった具合に。ただ場所の記憶はまったく時間軸に沿ったものではない。第5章のシーンを見たかと思えば次は第2章のシーンだったりする。ただそれによって「こいつは第2章では生きているから第1章で死んでいる奴とは別人だな」と当たりをつけたりもできる。かつ、単なる船内の事件かと思えばとんでもない展開が明かされたりして、「こんなことが起こってまだ5章ってことはこの後どうなるんだよ?!」と引き込まれまくるのである。

2「状況証拠からの推理が当たった時の爽快感」
先に書いたように、主人公の仕事は船員や乗客の死因を調べることだ。さすがにヒントとして乗客名簿はあるので、死の状況を見ながら「誰が」「何によって」死んだのかを推理することになる。だがもちろんあからさまに「船員のトーマス殺す!」「うわぁお前は料理番のジョン!」みたいな会話が残されているわけではない。役職が出てるからこいつだな、とか、国について触れてるから消去法でこいつだな、とかを推理していく。そしてポイントなのが「3人分推理が的中しないと記録が確定しない」というところだ。だから適当に「うーん、じゃあジョンの死因は毒殺!違うかな?じゃあ銃殺!」とやったところで、合っているかどうかはわからない。それが合っていたとしても他に二人確定させないといけないので、コマンド総当たりでオーケーではないのである。そこが歯ごたえがある。「こいつ、よく見たらこんなもの手に持ってる!ということは…」と推理していって当たった時の喜びは格別だ。

3「レトロな雰囲気を醸し出すグラフィック」
基本的にグラフィックはモノクロなのだが、昔懐かしいグリーンディスプレイ風も選べる。これは古き良き時代のアドベンチャーゲームを意識したものだと思われる。これが「船内で謎の死を追う」状況にぴったり合っている。むしろこれをフルカラーで作っていたらあんなに楽しめなかったのではないかと思うくらいだ。もちろん状況が状況だけに陰鬱な雰囲気ではあるのだが、ミステリーの世界にどっぷりハマれる優れた演出だ。

と、いうことで紹介はここまで。正直自分は9割くらい自分の推理で当てられたのだが、最後数人はどうしてもヒントに気づけずネットの情報に頼ってしまった。それでも十二分に楽しめたので、推理力のある人であればぜひ自力クリアにチャレンジしてみてほしい。最後の方は極端に情報が少ないが、当てはめる人物自体減っているのでカンで行けることもあるし。

なお、最後に一つ。ゲーム名で検索すると「船長 犯人」みたいなのが出てきて、自分は「しまったー!ネタバレ情報に引っかかってしまったー!」と思っていたのだが、これは全く違う話だった。なので評判を調べようと思ったらネタバレ食らってしまった!と思う人は気にせずにプレイしてみてほしい。それでは。

ちなみにSwitch版、PS4版、その他PC版が出ている。お好みの機種でどうぞ。自分はPS4版でやりました。


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