やってみりゃいい、をやるための壁
先日宣伝会議賞に応募したものをこっそり見せあう機会があった。1000本以上書いてるような人だと期待度的に一軍半くらいのを出して様子をうかがうことができるが、本数が少ないとこういう時に困る。思い切り本命を出してスカったときの落胆といったらないので、「めちゃくちゃ期待してるわけでもないが悪くもないと思ってるやつ」を出したいのだが、弾数が少ない。「ようし、最後の手段だ」「えっ、もう?」くらいの展開になりかねないのである。
ただスポンサーによっては出そうにも数本しか書いてない上に読み返すととても人前に出せないレベル、というのもある。そういうのはさすがに「この課題で見せられるのはない」と正直に申告するのだが、ふと某自然園について話したときに「CMは一つも書いてない」「CMは難しいよね~」みたいな話になり、「考えるハードルそんなに高いのか」と思った。
まあただこれは「どのレベルを求めるか」によると思う。CMコンテを見て、パクリレベルのものでも何でもいいから書けと言われれば、コピーを考えた経験がある人ならできるだろう。ただ、なまじ有名作品とか受賞作品とかを思い浮かべてしまうと「あんなの書けない」となってしまうのではないか。
例えばこれは「俳句を考えろ」と言われると「季語とかも知らないし文化知識的にできそうにない」と思うのが、「5.7.5にさえなってればいいからなんか出して」と言われると「それならまぁ」となる感じ。
そう言いながらも、明らかに上手い人に対して見せるのは緊張するよなぁ。とはいえそういう人も別に厳しいことを言うわけじゃなく、むしろ気を遣ってコメントするとは思うが。
「このヘボCMを考えたのは誰だぁっ!(海原雄山風)」とは言われないだろう。
自分も最初はCMなんてもちろん考えたことがないし、撮影に立ち会ってるわけでもない。ただコピー年鑑などでよく字コンテが載ってるのを見て、「こんな感じなのか、面白い」と思ってマネしだした。そしたら最初に考えたのが宣伝会議賞の1次に通ったので「ああいうのでいいのか」となったわけだ。まあこれだいぶ昔の話なのでね、倍率とかが全然違うしあんまし参考にならないと思うが。
ただ、そこからCMの仕事に実際に携わるまでにはかなり年月があった。そもそも地方のグラフィックメインの制作会社にいたので、CMの話自体ほぼないし。今でも覚えているが、メインの新聞広告のついでに提案していたラジオCMが決まったのが初だった。ただ「あれできましたんで」と、音源だけ渡されてええーっとなったものだ。決まったのも収録されたのもまったく知らされなかったのである。
まあ地方の弱小コピーライターの扱いなどそんなものだったりする。
ただその時の出来はともかくとして、ラジオCMの経験がなくても提案できたのは、わからないなりに勝手に書いてたからであろう。
著しく受賞率も低いので「こう書いたらよいのだ」などと指南できる立場ではないが、地方ラジオCMコンテストやら文化放送やらの受賞作を読んでたらなんとなくイメージできてくると思う。
こちらとしては書く人がいないならば倍率が下がるので別に上げようとはしてないのだが…。