「読みやすさのコツ」は、既に学んでいる。
このところ、「文章の読みやすさ」について考えている。
自慢じゃないが、自分の文章は読みやすさに定評がある。自慢じゃないがといいつつ思い切り自慢ですなこりゃ。
もしかすると中身が薄いからペラペラした感じで読みやすいのではないか…と危惧したが、危惧したところでどうもならんので黙殺していく。
しかし、改めて考えてみると「読みやすくするためにこんなテクニックを用いてるんでっせ」というのがない。厳密には「ほとんど」ない。
気にしているとしたらズバリ「読み返してつっかえない」ことである。
なんか当たり前すぎて我ながら脱力した。しかしこれにはまあまあ大義名分がある。それは直木賞作家の浅田次郎が「書いた文章は音読してみて読みにくくないか確認する」といっていた、というものだ。まあうろ覚えなんですが。
でも有名な発言かもしれないと思って出典を探すとそれらしきものがあった。
ズバリ、というわけではないが似たようなことを講演でも言っているようだ。
ということでポイントは「読み返す」、コレですよ。ちなみに自分は音読まではしてないので浅田式をだいぶ省略している。本人に知られたら鉄道模型で殴られるだろうか。未だに「鉄道員(ぽっぽや)」をパロディ例として持ち出すあたりが古くて申し訳ない。プリズンホテルも読んでます(さらに古いが)。
まあ、改めて考えるとそんなもんではあるのだが、これだといくら読みやすいと評価されたとしてもビジネス本執筆の依頼がこない。やっぱり「驚くほど文章が読みやすくなる13のテクニック」とか「これでもう迷わない!『読みやすさ』虎の巻」とかを出そうと思ったらそれなりの分量が必要になるからだ。あとそもそも知名度がない。ついでに言うと「虎の巻」というワードが古すぎて解脱しそうになった。
ビジネス本はたまに立ち読みすると「これ半分以下でまとめられそうだな」というものもよく見るので水増ししてナンボなのかもしれないが…。正直あのへんもキモの部分はせいぜい数個なんだろうなと思う。「ズバっと伝える直感力」みたいな感じの本の中で何度も同じことを書いていて「ぜんぜんズバっと伝わらんな」という感想を抱いたこともあるし。書名は架空だが。
ただ読みやすさにつながることって、だいたいは国語の時間に教わっていることだ。
「一文を長くしすぎない」
「リズムに応じて句読点を使う」
「語尾を同じものばかり使わない」
「体言止めなども使用して変化をつける」
改めて書いてみると「そういやそんなの言われたな」ということばかりじゃないだろうか?文章術の本というのは上記の例をよりわかりやすい例などでかみ砕いてくれるものであって、別に新しいことを言っているわけではないと予想する。 奇想天外なテクニックが読みやすさにつながる、みたいなこたぁないだろう(タモリ風)。
もし「インパクトを強めて読みやすくするために文章の途中でローマ字をはさめ!」みたいなこと書いてあったらBIBIRUけども。
そう考えると国語の教科書に立ち返ればいいじゃん、という話になるが、そもそも教科書をずっと持ってる人がいない。そこで結果的にそういう本を買う、という流れになるのではなかろうか。
そもそも文章術みたいな本を買う人というのは、文章を書くことそのものに苦手意識がある人と予想する。だからなるべく心理的ハードルを下げてくれて、当たり前の内容でも具体例があるほうがいい。
そうやって「国語力ゼロでもなんとかなった!劇的文章改善術」みたいな本が出来上がるのである。このタイトルも架空なので使用しても構いません。使用したら教えてくだちいな、これから真っ赤な皿が…(ドラえもん的フェイドアウト)。