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倒錯者であり、盗作者。~応募する人のモラル~

宣伝会議賞について触れることも多いこのnoteだが、宣伝会議賞の負の側面として「盗作」がある。以前真木準賞という準グランプリ級の賞において選ばれた応募作が過去の応募作と類似(というか正直全く同じ)していた、ということがある。

とはいっても、当時これに関しては全く知らなくて、以下の贈りびとさんの記事で知ったことである。「あれ?賞が取り消しになった?なんか問題あったのかな?」くらいに思っていたらその背後には結構根深い問題があった。


どうも件の人間はその後もこりずに盗作応募を繰り返しているらしい。昨年はどうだったのか知らないが、正直やってたとしても贈りびとさんくらいSKATを読み込んでいる人でもないと気づけないのが難しい。事務局の方で応募者ごとハネていない限り、普通に通ったりするだろう。何せ「過去の実績ある(=評価された)コピー」をいじるのだから、ドーピングのようなものだ。

最近、ふとX上で「川柳の盗作」について目にすることがあった。「あ、川柳でも盗作とかあるんだ」と思って考えてみると、確かにやりそうだなと思える理由がいくつかある。

理由1:足がつきにくい
なんといっても一番はこれだ。川柳を募集するのはそれぞれ別の会社や運営であるので「この言い回し、前回も見たぞ」ということはまずない。データベースとして残っていないからである。覚えているとしたら、むしろ企業側より応募側である。

理由2:使いまわしやすい
例えば保険について考える川柳募集、とそれぞれ別の保険会社がキャンペーンを打ったとして、「保険あるある」のような部分は共通しているので似たようなものがそれぞれで受賞という可能性は大いにある。

理由3:評価されやすい形がある
川柳自体には詳しくないが、短い言葉でまとめるという性質上、「上手いこと言った」というワードの組み合わせはあると思う。ダジャレ的なものとか。例えば温泉とか銭湯とかの関係で「お湯」に引っ掛けた鉄壁パターンがある、となればそれを使いまわしての応募も可能だ。

ということでやろうと思えば誰でもできる話ではある。いろんな過去の受賞作を記録しておいて、それに近いテーマが出たら一部変えて提出すればよい。そしてなぜみんながそれをやらないかと言えば、「人としてのモラルに反する」からに他ならない。いわばそもそも応募する資格がない。当然応募規約で盗作を認めるわけがないし、もし発覚したら取り消しとなる旨も書かれている。それくらい書いておかないと抑止力にならないと思ってのことだろうが、「平気でやる人」には全然抑止力が働かない。仮に受賞取り消しになったところで著作権法違反で訴えられるわけではないし、また別のに応募すればよいとなるだけなのだから。まあ一種のサイコパスである。だから「盗作で受賞して意味があるのか、楽しいのか」と訴えたところで意味がない。適当に人のものをいじって応募して評価されたりお金がもらえたりするからやっているのだ。

以前ジャンプで連載していた「ヒカルの碁」の序盤で、勝利後の石を数える際にごまかす話が出てくる。「素人がもたもたやっていてもまず気づかれない」と言っていて、要するに「不正をしようと思えば簡単にできる」という内容だった。しかし、それをやってしまったらもうおしまい、碁を打つ資格はないとはっきり言われるシーンだったように思う。例えばゴルフでもスコアは自己申告制なので、打った数をごまかしたり、藪の中からボールを出すのに打ったふりして投げたりということは簡単にできる。しかしこれもやってしまえばゴルフをやる資格がない。紳士(淑女)ではなくなるからだ。

ただそれでもやる奴はやる、となれば後は主催側が対策するしかない。いわゆる共有データベースなどを川柳協会みたいなところで作っておいて、AIでチェックするみたいなことができないものだろうか。AIで大量制作するよりもこういうところに使ってほしいものである。

何せ、本来は運営側にとっても打撃であるはずだからだ。「優秀作を選んだと思ったら盗作でした」となれば開催にケチがつくし今後の運営も危ぶまれる。
まあ、正直「盗作で有名」ということは応募側の常連が一番わかっているので教えてあげるのが手っ取り早いのかもしれないが…。でも一応募者がそんなところまで責任を負う感じになるのも変だしなあ。

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