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老と幼の対比、陰と陽の邂逅。

大仰なタイトルをつけてしまったが、なんだかシュールな光景に出くわしてしまったのでその記録。

先日、ちょっと仕事上必要な書類の申請があり、警察署に行った。だいたい警察の窓口というのは一つの事柄について一つしかなく、先に手続き中の人がいればその後ろでずっと待たなければいけない。コンビニのように「二番目にお待ちの方を誘導するシステム」はないのである。
その日も目的の窓口には先客がいた。まあ一人だけだしと待っていたが何やら相談しているようで意外と長い。となりは免許更新の窓口で、そちらのほうが多く並んでいる。最初に並んでいた女性の用が済み、次におじいさんの番になった。どうやら免許返納のようだ。警察官の女性が説明をするのが聞こえる。
「じゃあ、免許センターの確認に10~20分かかりますから、その間必要な書類を書いてくださいね」
これを聞いた途端にジジイが激昂。
「10分じゃないんか!わしゃぁ10分じゃいうてタクシー待たせとんじゃ!」
えっ、と思った。警察の手続きなんて、時間が読めるものではない。手続き自体はすぐのものでも他の人がいればそのぶん待つのだから。しかもタクシーを待たせてるのはお前の都合だろ、と。
警察内でよくまぁこんなにわめくものだと思っていると、警察官の女性は慣れたものなのか、
「10分~20分、と前にも説明しました。書類が必要なのでこちらに」
と誘導する。すると今度は
「メガネがないわ!メガネがないとよぅ見えんのんじゃ!」
と叫ぶ。こちらも完全にお前の都合というかむしろ落ち度だろと思ってると警察官の女性がハイハイといった感じで別の机に誘導。老眼鏡でも渡すのだろうか。ジジイは椅子にどっかと座りつつ、イライラした感じで警察の対応を待つ。
あ~これが老害クレーマーってやつか、警察も大変だな~と思っていると、そこに外から子供たちの集団が入ってきた。幼稚園か保育園か、3~4歳くらいの子供たちが、先生に誘導されながらトテトテと署内に案内される。職場見学的なイベントか。
ロビー中央に集まると、警察官の男性が絵を手に持ってかかげながら、子供たちに呼びかける。
「では~、みなさんが書いてくれたこの絵は、警察署内のロビーに飾らせてもらいまぁす」
きゃいきゃいと話を聞く園児たち。にこやかに見守る警察官たち。その後ろにイライラしたジジイ。なんだこのコントラストは。対比が鮮やかすぎる。同じ建物内なのにはっきりと世界が光と闇に分けられたかのような錯覚に陥った。

その後手続きが自分の番になったので済ませて出たのだが、その際に
「あのじいさんほんとタクシーで来たのかな?早く帰りたいから適当なこと言ってたとか…」
と思って入口の周りを見渡してたら、それは本当だった。何も知らないタクシーの運転手よ、たぶんまだまだ待たされるぞ…と思いつつ帰路につく。いやあほんとああならないように気を付けないとな。


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