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新しい仲間

8年前のクリスマスイブの日。
我が家に天使がやって来た。


娘たちと遊びに行ったチャトゥチャックのウィークエンドマーケットで動物保護団体のボランティアの人たちが、ある活動をしていた。
虐待されていたり、捨てられた犬や猫を保護しその犬や猫が安心して暮らせる場所を提供してくれる飼い主を探す活動。
何気なく通り掛りに見ていたら、娘が、小さな囲いの中で何にも興味がない様子で寝そべっている薄汚れた白い子犬を見て「このワンちゃん、連れて帰ろう。」と言い出した。
たくさんの猫の中に一匹だけいた白いメス犬。
生後約二ヶ月で捨てられたらしい。
短く白い毛の間からノミがうようよ這い回っているのが分かる。
家には、すでにダイとクロの二匹が居るので「アカン。」と私。

ダイとクロは、仲良しだけど、特に身体の大きなクロは、普段はおっとりと怠け者風で大人しいのに、縄張りに他の動物が入ることを認めず攻撃態勢に入る。
「連れて帰って、犬同士仲良くなれなかったら、ダイもクロもこのワンちゃんも可愛そう。
だいたい、命のあるものをもらうのは、すごい責任が伴うことで、簡単に『欲しいから、可愛いから、』ってもらうもんじゃない。」
と、反対理由を言う私に娘は泣きながら、
「二匹も三匹も一緒やんか。」
「捨てられた犬は数え切れないほどいるから、そのみんなを助けることはできないってお母さんは言うけど、今ここにいるこのワンちゃんは助けてあげられるやん。」
・・・・・・・・・・・・そりゃそうだけど。

「アカン。アカン。」の私と、人ごみの中、泣いて「連れて帰りたい。」と訴える娘たち。
最後の切り札に「お父さんも、絶対アカンって言うわ。訊いてみなさい。」

早速、娘が夫に電話で尋ねると、何ともあっさり「いいよ。」だって。
・・・・むむむむ、この裏切り者。キミは、デビルマンか・・・

で、結局もらって帰ることに。
その旨申し出ると、書類に色んなことを記入させられた。
その中に犬の名前を書く欄が。

娘たちは、洒落た名前を考えようとし始めたので、
「昔から、日本では白い犬は、シロかポチって決まってる。ポチや。ポチ。」と、隙を与えずポチに決定。
と、いうわけでポチが新しい家族の仲間になりました。

心配していたダイやクロとの様子。
外で飼っているダイやクロとしばらくは離そうと家の中で飼っているけど、夫が、ダイとクロに対面させ、匂い嗅がせ、この犬が新しく仲間入りしたことを言い聞かせた。
ダイもクロもどう理解したのか、ポチに攻撃しない。
同じ家に暮らす犬仲間と悟ったようだ。
一安心。


ポチは、初めの二三日は、犬のくせに猫をかぶっていたらしく、大人しかった・・・・のに、慣れ始めたら、なんとすごいイタズラ犬。
とにかく、可愛いくて憎めない。

娘と隣の子が一緒にポチと遊んでいて言っていた言葉。
「可愛すぎて、殺したいね。」
言葉にぎょっとしたけど、言いたいことが良く分かった。

子供たちの表情が、ポチを見ながらとろけていた。

思う存分サポートしてやってくださいっ。「よ~しっ!がんばるぞ!」という気になってもっとがんばって書きます。