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都議選と共産党と消費税と

◉人事コンサルティングの城繁幸氏が、先の都議選について分析しています。けして長文ではないのに、問題点をコンパクトに纏めていて、とてもわかり易いです。ダラダラと長い割に、内容がない分析は多々ありましたが。共産党が思ったほど伸びなかった理由と、無党派層と野党支持者の違いという視点も、意外と右や左の両方に欠けてる視線。無党派層=消去法で自民党に投票したが、けして自民党指示ではなく共産党不支持層、と。

【盛り上がらなかった都議選 共産党が入る「野党連携」に東京都民が冷ややかなワケ(城繁幸)】J-CAST会社ウォッチ

 先日、コロナ禍の真っ只中、2021年都議選が行われた。衆院選の前哨戦という位置づけもあり、各党とも力を入れたようだが、コロナの影響もあってか盛り上がりに欠け、投票率は過去2番目の低さに終わった。

 結果も都民ファーストが大きく議席を減らしはしたものの、当初予想よりは善戦し、自公も増えはしたが過半数には到達しないという何とも微妙な結果に見える。

 一方で、筆者には今回の選挙は「野党支持者と無党派層の微妙な温度差」がはっきり見えた興味深い選挙であったように思う。

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■無党派層は消極的与党支持■

野党支持者が勘違いしてるのは、 野党を指示しない≠自民党支持者 という点を、根本的に誤解していることでしょうね。原発についてデマを流す人をたしなめる学者を、原発推進肌の御用学者だのレッテルを貼って、攻撃したのと同じ。自分たちは正しいという独善性や傲慢に無自覚なので、正しい自分を批判するのはナチスだ悪魔だと悪魔化するわけです。野党の政策や議員の言動がダメすぎるから、消去法で自民党に入れてるだけという点が、理解できない。

そりゃまぁ、絶対的に正しい共産党の一党独裁が理想の人たちにとって、自分たちの無謬性を無邪気に信じる行為はただの宗教なんですが、宗教という自覚もないですからね。今の若者は、右でも左でも極端な意見を持ってるのは10%弱で、多くはネットで多様な意見を摂取しており、むしろ旧メディア───新聞・テレビ・ラジオ・雑誌───の欺瞞や偽善やダブルスタンダードに冷めた目を向けています。マスコミもまた、野党支持者と同じで己を顧みない。

■消費税悪玉論の限界■

消費税が消費を冷え込ませるのは事実ですが、では消費税減税をしたら消費が上がるか? 自分はこれに懐疑的です。冷え込ます効果はあっても、では消費税が下がったからたくさん買おう、となるか? 普通に考えれば、一律定額給付金10万円の多くが貯金に回されたように、未来に不安がある状態で消費税を下げても、消費は向上しないでしょうね。むしろ、税率の短期間での変化で小売の現場は混乱し、税収は減りで、虻蜂取らずになる可能性が高いと、自分は思います。

(1)消費税を下げ、社会保険料を上げようとするから
消費税平均が20%前後の欧州を見ても明らかなように「高齢化が進めば、現役世代への負担集中を避けるため、所得税から消費税に軸足を移す」というのが世界的なトレンドだが、日本では逆に政治が高齢者におもねるあまり「消費税を据え置き社会保険料を大幅に引き上げる」という愚行を続けてきた。

上記で引用したように、社会保険料はすでに30%近く、30%突破も時間の問題。中曽根内閣で導入されようとした売上税は、公約違反の大合唱で中曽根内閣を退陣に追い込み、その成功体験が根強いマスコミは、消費税を悪玉として叩いていれば、大衆に批判されることはないのですが。そんな悪税なら、欧米先進国の多くが15~20%の消費税を課し、リベラル出羽守が憧れる北欧の高福祉国家では25%前後が当たり前な理由を、説明はしません。

■情緒論では税制は動かない■

むしろ日本では消費税が低いから、消費税アップがダメージになるという意見もあります。もし中曽根内閣でスムーズに消費税を導入していれば、バブルの加熱も押さえられたかもしれません。もし現状で欧米先進国並みの15~20%ぐらいに乗せられていれば、違ったでしょうね。そもそも、消費税アップを決めたのは民衆党政権。景気よく消費税減税を謳うのは自由ですが、現実には官僚に説得されちゃってるんですから、

消費税ヘイターはすぐ「子供のミルク代にも消費税が~」と情緒的なことを言いますが、かつてフォーブス誌に世界一のお金持ちとされた堤義明氏の西武グループが、税金をほとんど払っていなかったように、直接税中心の税制では、法の網を逃れます。また、地下経済で儲けた反社も、高級外車を替えば消費税を取られます。愛人の贅沢品にも消費税がかかります。逆進性ばかり言わないで、そういう部分もちゃんと見ないと、まともな議論になりません。

■国や大企業は無限の財布ではない■

今回、都民ファーストが思ったほど議席を減らさず、共産党も立憲民主党も思ったほど伸びなかったのも、けっきょくは野党の政策のダメダメさ、でしょね。雇用をどうするか、経済をどうするか、そこを最優先氏すべきなのに、自民党と都民ファーストを大敗させる絶好のチャンスだったのに、八方美人で老人層におもねり、若者からは見放されているわけで。若者の票を掘り起こせたら勝てる、というのは幻想だと自分は思っていますので。城繁幸氏のこの指摘は重要でしょう。

(2)各種トンデモ論で大企業を攻撃するから
金持ちからお金を取りあげて分配しようというのなら、本来は国内金融資産の7割を持つ高齢者がそのターゲットとなるはずだ。だが、共産党も高齢者におもねるという点では自公と変わりない。

野党支持者は、カール・マルクスがユダヤ・キリスト教の千年王国思想を焼き直して共産主義思想という疑似科学をこねくりだした時代のままで、国や大企業が莫大な富を独占し、労働者から搾取しているという幻想をいまだに持っているのでしょうけれど。現実には、大企業は大企業であるがゆえに監視の目もきつく、そんな富を溜め込むのは難しい。もちろん、GAFAなどのグローバル企業が、税制を悪用して税金を払わないのを、規制する動きは大事ですが。

数字上はむしろ、団塊の世代や全共闘世代が逃げ切り世代で、ここから富を吐き出させて再分配させるのが合理的。でも、そうはならない。けっきょく、八方美人で人口も多く投票率も高い老人層におもねっているわけで。全共闘世代とか、戦後日本の物質文明をもっとも謳歌して、でも中学で暴れ高校で暴れ大学で暴れ、バブルに踊り、そのくせ年金は逃げ切り世代。彼らに消費税でツケを払わせるのが、政治じゃないんですかね?

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