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日本とノルウェーのシシャモ漁

◉日本とノルウェーのシシャモ漁について、興味深い記事が。シシャモはアイヌ語由来の名前で、漢字で書くと柳葉魚。キュウリウオ目キュウリウオ科に属する魚で、鮭のように川で産卵・孵化して海に戻り、成長後に川に戻る遡河回遊魚です。海で産卵して川で成長するウナギとは、ちょっと違います。日本固有種で、カラフトシシャモ(カペリン)とは、よく似ていますが別種。もう、絶滅危惧種のレベルで減っています。

【日本とノルウェーでシシャモ漁獲量に大差がある理由】WEDGEオンライン

 卵を抱え、脂ものったお馴染みの干しシシャモ(カラフトシシャモ)。原料の2大供給国は、ノルウェーとアイスランドで毎年2~3月前後が漁獲シーズンとなります。

 2023年10月に、ノルウェーシシャモで24年に漁獲が許可される数量・TAC(漁獲可能量)が発表されました。その数量は約20万トン(19.6万)と22年の漁獲量が僅か200トンまで落ち込んでしまった北海道のシシャモの漁獲量とは3桁違いの数量です。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31936?layout=b

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、シシャモではなくカラフトシシャモのカペリンですね。

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シシャモに関しては、漁業の専門家である勝川俊雄氏がたびたび、日本の漁業について批判しています。クロマグロやウナギといっしょで、数が減りすぎていて危険な種類でも、実際の漁獲量よりはるかに多い漁獲枠を設定し、ちっとも制限になっていない、ポーズだというのがわかります。漁獲枠でも何でもないです。結果、シシャモはドンドン数が減って、もう数十キロしか獲れないレベルに。日本固有種を滅ぼす気か、と。

北海道のシシャモ漁獲量。漁獲枠などの規制がないまま、資源が減少し、漁獲量も減少している。漁獲規制をしている国なら、1000トンを切ったあたりの資源水準で漁獲にブレーキをかけて、500トンを切るあたりで、禁漁にするだろう。

https://x.com/katukawa/status/1710411154843934784?s=20

こちらがシシャモの年齢別漁獲量。シシャモの多くは2歳で産卵するのだけれど、2歳魚の割合は年々減少し、2012年以降は殆ど見えなくなっている。1歳の漁獲圧が強すぎて、産卵親魚量が確保できていない可能性が高い。
https://t.co/uiGVYNO3jz

https://x.com/katukawa/status/1710414533494452289?s=20

けっきょく、卵を食べたり、未成熟種を食するのは、漁獲量に大ダメージを与えるのですが。子持ちシシャモをありがたがる文化が、こういう状況を生んだ面があるでしょう。キャビアにしても、数の子にしてもそうですが。現在はオスのカペリンに、傷が付いたメスの卵を注入してる状況です。正直、あの卵をありがたがる文化も、日本的でダメだなと。数の子とか、そこまで美味しいと思いませんし。イクラ丼とか、人造イクラで充分ですし。

自分はウニや辛子明太子が好きですが、養殖も盛んなウニはともかく、明太子の原料のスケトウダラの漁獲量も減っており、コチラも乱獲が指摘されます。中国や北朝鮮に責任転嫁する前に、もうちょっと科学的な漁業を導入しないと、これらの漁獲量も目に見えて落ちていくでしょう。なのに未利用魚とかいって、小型の鯖まで加工してたら、マジに滅びます。禁漁すれば資源は回復する、これはハタハタ漁などでも証明され、動きません。

 日本の国産シシャモについても後で述べますが、回復の兆しはありません。漁獲量が減った原因として、日本でよく海水温の上昇が言われます。しかし、北欧の海でも海水温上昇の影響があります(「過去最低の水揚量と海水温上昇を比較すると驚くかも知れません - 魚が消えていく本当の理由」)が、大きく回復しています。海水温のせいであれば、日本同様に減り続けるはずではないでしょうか? また、3カ国とも産卵期に狙いを定めて漁をしています(「タラコを食べても魚は減らない? 産卵期の漁業は問題あるのか? - 魚が消えていく本当の理由」)。しかし減るだけで資源が回復しないのは日本だけです。

同上

けっきょく、他国との比較で、日本のおかしさ……というか水産庁のおかしさが、バレちゃうんですよね。言い訳だけはいっちょ前で、海水温が〜中国が〜と、責任転嫁する。捕鯨に関しても、悪手を指し続けて、問題を拗らせた部分も。けっきょく、国際政治に強い安倍晋三元総理の指揮の下、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退しつつアドバイザーとしては留まり、でも捕鯨国の別組織と連帯する、絶妙な一手ですっかりIWCは過去の物に。でも、日本での実務は相変わらずダメダメ。

 日本の場合は、シシャモにTACもありませんし、シシャモを捕食する魚のことも考慮されていません。このため、シシャモだけでなく、それをエサとしている魚の資源量にまで悪影響を与え、さまざまな魚種が減る悪循環を起こしてしまうのです。

同上

けっきょく、日本は農業にしても漁業にしても、まだ数が多すぎて、それが族議員の票田になってるウチは、いつもの柵でズルズルベッタリで、変わらないのでしょう。ある程度の数まで減れば、食の安全保障の意味で、農業も漁業も補助金で一定量を確保しつつコントロールする、今の歪な状況が続くでしょう。バカバカしい話ですが、和を以て貴しとなすの、八方美人の国ですから。

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