見出し画像

小説の可能性と課題

マンガの描き方を教える講座なんか開いていますが、推理小説家の芦辺拓先生を講師に、小説の講座も開いています。来年は第二期を開講予定。言うても、自分は日本文学科卒業。近代文学専攻。山田晃ゼミで芥川龍之介を学び、卒論は中島敦。教え子には小説家もいますし、小説には敬意も関心もあります。一般人よりは。で、ぬまきちさんがTwitterで小説業界について、こんな指摘をされていました。

とても大事な指摘。というか、漫画もズルズルと長期連載する状況から、『鬼滅の刃』や『チェーンソーマン』まで、人気がある状態でも、良い終わり方をして綺麗に畳む方向が、明確です。コレって実は、2006年から既に兆候は見えてたんですけどね。そしてTwitterによって、4コマ漫画やショート漫画が復権しつつあります。その象徴が『夜回り猫』や『こぐまのケーキ屋さん』ですね。

◉…△▽△▼▲▼△▽△▼▲▼△▽△…◉

■小説のガラパゴス化■

一気にブレイクしたカメントツ先生ほどではないですが、教え子の石原苑子先生もTwitterで発表した『祖母に聞いた不思議な話』が好評で仕事依頼が増えていますし、三本一舞先生も『ヒヨコ共がゆめのあと』がバズりまくり、同人誌が完売しましたし。雑誌がバタバタ潰れ、ジャンプも200万部を割って、厳しい状況。ですが、漫画の方は新しいマネタイズの方法や、生き残りを模索しています。

それに比べて、小説の方はイマイチ伸びていません。漫画を馬鹿にした直木賞作家様とかが炎上していましたが、そういう「我々はハイカルチャー様でござる」の上から目線が、小説の衰退を招いているとは、思わないんでしょうねぇ……。小説を読まないと嘆かれていたアメリカが、女性を中心にロマンス小説市場が盛り上がっているのに、小説好きが多いはずの日本は、別の意味でガラパゴス化。

もちろん、漫画と小説の表現形態の違いはあります。ですが、小説と漫画は同じ能動的な消費のされ方をされるという点で、実は似ています。映画やアニメーションに似てると思われがちですが、両者は受動的な消費のされ方。自分のペースで読め、時に読むのを止めて感動を反芻したり、前のページを読み返したりできる。イニシアティブは読者の側にあります。映画やアニメは、観客は展開を追う側。受け身。

■コンテンツビジネスと小説■

以前、『ONE PIECE』の初代担当編集者の浅田貴典氏と、NPO法人NEWVERYの会合で立ち話程度の会話をさせていただいたとき。当時はJUMP j BOOKSの編集長をされており、小説の可能性を語っておられました。具体的な内容はオフレコなので割愛しますが、簡単に言えばコンテンツビジネスとしての小説の可能性。実際、浅田編集長就任以降、2015年には売上も伸ばしていますしね。

で、教え子から小説家やアニメーターも出始め、割とうちの作話メソッドって普遍性あるなぁということで、数年前から小説の方もアニメも巻き込んだ、総合的なことが出来ないかなと、考えていました。アニメの方は、斉藤むねお先生の実兄がアニメーターですし、元アニメーターの知り合い、教え子もけっこういますが、自分自身がノウハウを咀嚼できる立場にないので、まだ難しいのですが。

ただ、大学や専門学校で教えていたデザインやDTP関係と、小説は可能性があるかな、と。上記のように、もともとが文学専攻。そもそも、漫画の半分はセリフという、文字によって形作られています。サイレント漫画という特殊な形式はともかく。両方を学ぶことで、漫画志望者にも小説志望者にも、プラスの影響があるかも、と思うようになった部分もあります。

■総合格闘技とトライアスロン■

この発想の切っ掛けは、総合格闘技。自分は平直行師の元でブラジリアン柔術を学び、いちおう道場を持てる資格である紫帯を取得していますが、大学時代に喧嘩藝骨法の道場にも通い、試合で某実戦空手の黒帯(県大会ベスト4レベル)に掌打でKOするぐらいは、打撃もできます。総合志向の道場生と、スパーリングは普通にやってますしね。打・投・極は一通りできます。

それどころか、元々は小学校から剣道をやっていて、こちらも有段者。祖母方の曾祖父は幕末の生まれで、薬丸自顕流をやってましたしね。平直行師も柳生心眼流や太氣拳を学び武術に回帰されており、自分も日本の武術・武道は本来、武器術も含めて総合格闘技だと気付いたわけです。警察官は剣道と柔道を併修することで、かなりの領域をカバーできますし、汎用性がそれだけ高まります。

個々の技術を高めるのは大事ですが、併修することで得るものは大きいのではないか、と。加えて、泳ぐ・走る・漕ぐを競うトライアスロンの五輪出場のトップ選手と知遇を得たのも、考えるヒントに。総合格闘技的な学びが可能であるならば、作話という大きな軸に漫画や小説や脚本を、作画の軸に絵画やデザインや写真や動画などを、上手く体系立てて併修できないか、と。ずっと考えていました。

※以下、有料です。大した内容ではありませんので、興味がある方だけどうぞ。

◉…△▽△▼▲▼△▽△▼▲▼△▽△…◉

ここから先は

2,352字
この記事のみ ¥ 200

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ