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日本人に下戸が多い理由

◉日本人には下戸が多いと言われますが。これはアルコールを分解する酵素が、遺伝的に欠如している人の割合が多いから、という面はあるようです。昔聞いた学説では、氷河期の時代には多少発酵した食べ物でも口にしていたため、アルコールに対する体制がない人間は淘汰されたが、比較的南方のルートで日本に到達した先祖は、アルコールに弱い遺伝子を保持した……という話だったのですが。

【日本人2段階で「下戸」に 1万人ゲノム解析し判明】共同通信社

 日本人約1万人のゲノム(全遺伝情報)を解析した結果、酒に弱い「下戸」となる遺伝子変異がある人の割合が、約2万年前と約7500年前の2段階で増えたことが分かったと、国立国際医療研究センターなどのチームが7日付の国際科学誌「プロスジェネティクス」に発表した。はっきりした理由は不明という。

https://news.yahoo.co.jp/articles/21e3bc60f79fdddbeccce9ddbf656bb3f95b6557

 アルコールは主に遺伝子「ADH1B」の働きでアセトアルデヒドという物質に変換され、さらに遺伝子「ALDH2」の働きで分解される。日本人では、この二つの遺伝子の変異による下戸の人が多い。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、松尾大社の写真だそうです。

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■農耕とお酒■

どうやら最新の研究では、そういう遺伝子タイプが生き残ったという話ではなく。約2万年前と7500年前のあたりで、2段階に増えた時期があったようですね。この2万年前というのが、氷河期の時代に渡ってきた人たちで。でも約7500年前というのが、ちょっと引っかかります。日本に稲作が伝播したのは、約6000年ほど前の長江下流域から。でも農耕の文化はもっと早いんですよね。

そもそも 北方の方では、粟とか黍をもっと早い段階から栽培していましたから。そうして、そのような穀物の栽培は、酒の文化の誕生を促しますから。世界中でお酒を作って飲む文化が見られますが、北極圏のイヌイットなどには、そもそも穀物栽培の文化がなかったために、お酒を作る文化も生まれなかったんですよね。その結果、お酒の文化が入ってきてアルコール依存症になる原住民が増えたとか。

■酒に弱いから酒好き■

アルコール依存症になるのは、実はお酒に弱いタイプなんですよね。少量のお酒ですぐに気持ちよくなってしまうので。逆に酒に強いタイプはかなりの量を飲まないと、なかなか 酔っ払いませんから。推理小説の元祖であるエドガー・アラン・ポーも、酒に弱いがゆえにアルコール依存症になった面があります。日本人は酒好きの文化ですが、酒に弱いからこそ酒好きという、逆説があります。

で、この先に弱い 遺伝子を持つのは古モンゴロイドと呼ばれるタイプのモンゴロイド。新モンゴロイドと呼ばれるタイプは、寒冷地に適用してヒゲが薄く、一重まぶたでのっぺりした顔をしています。ヒゲが濃いタイプは吐く息の水分が付着して、凍傷になりやすいから、環境的に淘汰されたからだとされます。モンゴル人とか子供のうちから、馬乳酒を飲んでビタミンを補給していますから、お酒が飲めて当然なんですね。

■江戸時代の謎■

今回の研究で興味深いのは、江戸時代に下戸が減ったという部分ですね。言うまでもなく江戸時代は鎖国の時代であり、外部からの人口の大きな流入はなかったはずです。加えて、日本の人口は 戦国時代に大きく増えますが、平和な時代となった江戸時代には、意外と増えていないんですよね。幕末の時点で3000万人ぐらい という推定がありますから。

そんな時代になぜ、下戸の遺伝子が減ったのか? 参勤交代や海運の発達によって全国の人間が移動しやすくなり、遺伝的な交流が起きたからでしょうかね? 鹿児島県の片田舎にも、妹尾さんや越智さんなど、四国発祥の名字がけっこう残っています。現在の大分の豊後商人が、商売で鹿児島から四国まで 手広く商売していた名残のようで。鹿児島の味噌は大分のメーカーが未だに支配していますからね。

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