ロシアが国連に離脱カードで圧力？
◉朝日新聞の記事の見出しだけを見て、一瞬喜んだのです。ロシア連邦が国連から離脱するのであれば、常任理事国で問題なのは中国だけになりますから。ダチョウ倶楽部の代表的なギャグではないですが、「どうぞどうぞ」ってなもんでしたが……。いつもの見出し詐欺でした。食料輸出協定への離脱カードってだけで、別に国連そのものから離脱する気はサラサラないと。松岡洋右の国際連盟脱退とは程遠い話です。
【ロシア、離脱カードで国連に圧力 米欧にSWIFTへの再接続を要求】朝日新聞
黒海を通じたウクライナの食料輸出協定への参加をロシアが停止した問題をめぐり、ロシア外務省は18日夜の声明で、90日以内にロシア産農産物などの輸出に関して有効な改善策を打ち出すことを、国連に求めた。90日後は国連との覚書の期限にあたり、協定からの「完全離脱」で脅しをかけた形だ。
食料輸出協定については昨年7月、仲介する国連とトルコが、ロシアとウクライナそれぞれと合意文書に署名。ロシアは別途、自国の肥料や穀物の輸出に関する「制限撤廃」について国連と覚書を結んでいた。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ウクライナ平和を希求するイラストです。
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■スターリンの後継者■
なんだかんだ言って、ロシアは欧州の一部であり、欧州で育まれた国際政治の駆け引きのポイントは、日本人なんかよりもはるかに分かっているということでしょうね。それは ソビエト連邦 時代のスターリンにしてもそうで。政治家として見た時、スターリンもヒトラーも、似たり寄ったりの独裁者です。でもヒトラーは最後は自殺しナチスドイツは崩壊。一方スターリンは、ソビエト連邦を戦勝国に。
終戦のドサクサで日本の北方領土もものにし、シベリア抑留で膨大な労働力も手にし、何より 戦勝国として 国連の常任理事国 という立場まで手に入れ、国際的な発言力を手に入れたのですから。毛沢東の共産中国も、その点では運が良かったのですが。少なくとも、終戦した当時は大したポジションではありませんでしたから。それを考えるとスターリンの政治的な駆け引き能力は、やはり圧倒的だと言わざるを得ません。
■叩き上げの独裁者■
プーチン大統領もなんだかんだ言って、ロシア連邦の大統領代行に着いたのが1999年12月ですから、20世紀からず〜っと、権力の座に君臨しているわけです。四半世紀も独裁的な権力を維持しているわけですから、世界の独裁者の中でもやはり突出した政治力の人物だと思います。その間、何度も暗殺の危機を乗り越えて、権力を維持しているのですから。その実績が、プーチン大統領のカリスマ性の源泉でもあります。
プリゴジンの乱も結局は抑え込み、あくまでも噂レベルですが、すでにベラルーシで暗殺してるのではないか……という説さえ出ています。そういう意味においても、やはり一筋縄では行かない 政治家だなと思います。今の世界を見渡しても、果たしてプーチン大統領に、互角に対抗できる政治家がいるのか？ バイデン大統領では難しそうに思えます。叩き上げの政治家が持つ独特の しぶとさみたいなものを、プーチン大統領は持っていますから。
■西側の人材不足■
叩き上げの独裁者という点では、ヒトラーもスターリンもプーチン大統領も、似ています。父親が馬喰であった毛沢東も、そのタイプでしょうか。習近平や金日成、李承晩などはその点で、実力で掴んだ独裁者の地位ではなく、強力なバックに与えられたものでしかないですから。どうしても線が細いんですよね。西側陣営で見ても、イギリスのスナク首相は、叩き上げタイプの骨太さは感じますが。まだちょっと、貫禄が足りませんね。先代のジョンソン首相のほうが、さすがに英国のしたたかな政治家という感じはします。
安倍晋三元総理はその意味では、カリスマ型ではなかったですね。基本は他人の話をよく聞き、粘り強く説得する調整型。だから、総理在任中も派閥の領袖にはなれなかったんですよね。亡くなった後、評価が高まっているのは良いのですが、やや過剰に評価している人もいるような。オバマ大統領でもプーチン大統領でもトランプ大統領でもバイデン大統領でも、そこそこ以上に付き合えるバランス能力が真骨頂で。黙って目を伏せれば、部下が何も言わず暗殺に動くタイプではないです。
薩摩小原節の一説「西郷隆盛おいらの兄貴 国の為ならオハラハー死ぬと言うた」が政治的カリスマの在り方ですから。スターリンやプーチンのような、叩き上げのカリスマ独裁者に、西側は対抗できるのか？ 正直難しいですが、そこは横の連帯で対応するしかないでしょうね。ゼレンスキー大統領は、時代が英雄を生むの典型例として、どんどん顔つきが三軍の長の顔になっていますが。西側全体を牽引する力はなく。G7のなかなから、カリスマが出てこないと。21世紀のチャーチルやルーズベルトは出るのか？ まぁ、ふたりともスターリンに騙されたのですが。
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