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生きた化石は進化停止中?

◉以前書いてアップするのを忘れていました。古代魚のガーパイクやシーラカンス、チョウザメ、ハイギョなど、いわゆる生きている化石と呼ばれる生物は、そもそも遺伝子の変異が、他の生物より少ないという研究結果が出たそうです。個人的に、生物の進化は本当に不思議で、ある意味で壮大な推理小説みたいな部分があって、このnoteでも割と多めに取り上げています。あまり需要はありませんが、あくまでも自分の趣味優先で書いているnoteですから、そこはご勘弁を。

【「生きている化石」はDNAレベルでも進化が停止しているのか?】ナゾロジー

何が「生きた化石」を作るかという、究極の疑問の答えが示されました。

米国のイェール大学(YU)で行われた研究により、ガーパイク(通称:ガー)と呼ばれる古代魚は外見だけでなく、DNAレベルでもほとんど進化していないことが示されました。

研究者たちは、ガーは外見に加えてDNAも変化していないことから、生物学的な意味でも本当の「生きている化石」になると述べています。

しかしいったいどんな手段をとったら、DNAレベルの進化を拒絶できるのでしょうか?

研究内容の詳細は2024年3月4日に『Evolution』にて掲載されました。

https://nazology.net/archives/146726

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、シーラカンスのイラストです。

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■進化速度の違い■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。星野之宣先生の傑作『ベムハンターソード』でも、人類の進化 スピード自体は他の生物と比較しても、かなり進んでいることが描かれていました。実際問題、シーラカンスは古生代のデボン紀に出現しています。デボン紀は約4億1600万年前から約3億5920万年前までの時期ですから、まさに生きた化石です。人類の歴史も、どんどん遡ってはいるのですが、それでも200万年ぐらいですからね。

ナメクジウオの仲間に至っては、姿は形がそっくりなピカイアという古代生物が、約5億500万年前の地層から発見されていますから。ただ気をつけたいのは、原始的なものから複雑なものへ進化しているという考え方は、一歩間違うと進化している方が偉いという、ヒトラーとナチスの優生学の考え方に直結しますので、注意が必要です。遺伝子の数が多く複雑ならば、より高度という考え方も、危険です。ハイギョの仲間など、人類以上の遺伝子の数を持っていますから。

■進化ではなく変化■

進化することが正しいのならば、地球上には究極の肉食動物と究極の草食動物の、1種類しか存在しないことになります。でも現実にはそうはなっていません。今西錦司博士は、棲み分け論を提唱して、今西進化論と呼ばれましたが。地球の環境は極寒の極地からマグマが噴き出すような灼熱の地まで、多種多様ですから。その多様な環境に適応した生命が、進化と呼ばれるのならば納得できます。

逆に言えば、ナメクジウオやシーラカンスは、進化する必要がなかったから進化しなかった、と言えます。環境に合わせて 細かく 進化する必要があった 生物と、進化する必要がなかった生物。どっちが良いかは分かりませんが。現在最強の海洋生物であるシャチは、1億年後には絶滅しているかもしれません。でも逆に、何億年も前に出現してほとんど変わっていないサメは、 1億年後も絶滅せずに、悠々と泳いでいるかもしれません。

たとえばシーラカンスやゾウザメ、そして始祖鳥のように羽部分に爪を持つことが知られているツメバケイと呼ばれる鳥たちでは100万年あたり約0.0005個の変異が起きていることが示されました。
ただ一般的な両生類の変異速度が100万年あたり0.007個、あるいは一般的な哺乳類が100万年あたり0.02個であるため、これらと比較するとその進化速度は極めて遅いと言えます。

この進化速度の違いが何に由来するのか、それは現時点では分かりません。ひょっとしたら、環境に対する対応能力が高いがゆえに、遺伝子の変異を促す何らかの要素(外的要因と内的要因の2つがありそうです)が、活性化されない可能性はありますね。ひょっとしたら研究が進んで、進化を促すトリガー遺伝子と、進化を抑制するストッパー遺伝子と、両方があるのかもしれません。それは遺伝子ではなく、何かの物質かもしれませんし。

■解けないパズル■

ただ そうやって、生きた化石が存在するからこそ、自分たちは壮大な進化の謎の、パズルを紐解くことができるわけで。記事に出てくるツメバケイとか、南米のオリノコ川やアマゾン川流域などにいる鳥類なのですが。その名前の通り、前肢である翼に指の爪が残っていて、化石で見る始祖鳥がこんな感じだったのではないか……と思わせる、不思議な鳥類です。鳥類は進化の中で、この爪を失っていったのですが。

Wikipediaより

シーラカンスなどの映像を見ても、まさに怪魚という感じで、興味深いですね。そういう意味では、サメやワニという生物は、かなり早い段階で、めちゃくちゃ完成度が高かったため、あまり進化する必要がなかったのでしょうね。魚竜も鯨類も、サメと姿形が似た収斂進化をしていますし。ワニもその意味では、水陸両用の生物としては、究極の形状に近い面があります。恐竜は絶滅したのに彼らは絶滅していませんから、それだけでも勝ち組。

1億年後の地球がどうなっているのか、10億年後の地球がどうなっているのか、想像するしかありませんが。人類が滅びた後もピカイアは、海がある限り生き残っていそうな気がしますね。もしワニや サメが絶滅したとしても、やっぱりワニや サメに姿がそっくりな生物が進化して、生態的な地位を占めているのだろうなと。進化の謎は、自分が生きてるうちに解き明かされることは、ないのかもしれませんが。それでもこうやって、想像する楽しみは、ずっと続くということで。


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