川口市のクルド人問題
◉倉本圭造氏のポストが流れてきまして、拝読したらバランスの取れた意見でした。元はnoteに書かれた内容だったので、記事紹介機能を利用して、noteでもご紹介します。川口市のクルド人問題は、右派系排外主義と左派系多文化主義の対立に加え、宗教的な問題も絡み、イスラム嫌悪を混ぜようとする人が煽ってる印象があります。国境なき最大の民族でもあるクルド人の問題は、スンニ派やシーア派のムスリム（イスラム教徒）の問題一般と混ぜるのは、個人的には疑問ですから、そこも含めて個人的な感想を。少し、付け加えます。
【（右翼さん以外のための）『川口市のクルド人問題』まとめ】
埼玉県蕨市と川口市周辺に集住しているクルド人と現地住民との間の軋轢はSNSでも度々話題になっていますが、先日蕨駅前の外国人排斥デモに対してクルド人群衆の一人が「日本人●ね！」と叫んだという動画（ただし諸説あり）が出回っていて、さらに相互憎悪が募る結果になっています。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。
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■排外主義と多文化主義■
排外主義は何も右翼の専売特許ではなく、右でも左でも起こりうることです。同様に、多文化主義も左派の専売特許ではなく、右でも左でも起こりうることです。例えば、玄洋社の頭山満以来の右翼の大アジア主義（興亜論）は、明治期のアジアへの植民地支配を強める欧米列強や白人に対しては排外主義です。同時に、アジアに対してはアジアは団結して対抗すべしという、多文化主義の二面性があります。
だから、右翼の大物の笹川良一や児玉誉士夫、内田良平、福田恆存、赤尾敏といった方々は、親中であり親韓であり新アジアでもあります。もっと言えば岸信介も安倍晋太郎も安倍晋三夫妻も親韓です。ネトウヨ（ネット右翼）という言葉は、定義も曖昧ですが。いわゆる嫌韓ネット民をネトウヨと呼ぶ状況と、ずれていますね。この、限定的な排外主義・限定的な多文化主義は、リベラル側にも見られます。特に、欧米の教育を受けたタイプの人間に。
■宗教的対立と排外主義■
キリスト教とイスラム教との間には、長い長い対立の歴史があります。元は、ユダヤ教をルーツとする、同じ神（ヤハウェ＝エホバ＝アッラー）を進行する経典の民なのですが。新バビロニアのネブカドネザル二世により、ユダ王国が滅ぼされ、ユダヤ人たちが首都バビロンを始めとしたバビロニア地方へ捕虜として連行されたバビロン捕囚（紀元前597年から紀元前538年まで）の期間に、ユダヤ教は一種の宗教改革が断行され、民族団結の紐帯になります。
ここから、宗教改革者としてのナザレのイエスが出て、キリスト教が分派します。これが、紀元30年頃のお話です。最初の宗教改革から570年から630年ぐらいたって、宗教改革が起きたわけです。民族宗教から世界宗教になったと、キリスト教徒は自画自賛しますが。ところが西暦610年頃に、アラビア半島のメッカ（マッカ）郊外で唯一神アッラーフの啓示を受けたと主張するムハンマド（マホメット）が現れ、イスラム教の布教を始めます。
イスラム教は、イエスの神性を否定し、予言者の１人だが人間に過ぎないと断じています。三位一体説で、神と子（イエス）と精霊は一体という教義を持つキリスト教徒（カトリック・プロテスタント・正教会・聖公会など）には、コレは受け容れられないので。両宗教は憎み合い、十字軍のように殺し合うことに。異教徒から見たら、本地垂迹説みたいな三位一体説はピンときませんし、キリスト教の中にも、これを否定するグノーシス派もいますが。いずれにしろ、日本人には想像できない、イスラム憎悪が歴史的にあります。
■宗教的な捻れ現象が■
欧米で教育を受けた人間に、思想の左右に関係なく、嫌イスラムの部分が見えることもあります。ペケッターのイスラムフォビアも、それに近い傾向が。川口のクルド人問題がややこしいのは、日本の神道系は逆に、一神教系のキリスト教にもイスラム教にも、排外主義になる側面があります。欧米の反イスラムほど強烈ではないですが。で、日本のリベラルはリベラルで、教義もなくアミニズムの延長のような神道を、バカにしています。
このように、川口のクルド問題を取り上げる人たちは、右派の排外主義者と左派の多文化主義者と、雑にくくってネトウヨだ極右だとレッテル貼っても、問題は捩れるだけです。
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