ソーダ水

月のソーダ水

天文学者同士の結婚式の引き出物でもらった透明なガラスのコップには、表面に星座がプリントアウトされていた。箱の中に2つ入っていたそれを、片方だけ取り出し、片割れは取り出さないでそのまま箱に蓋をした。取り出したコップに冷えた炭酸水を注ぎ込む。普段はあまり使わないガムシロップを5つほど開けて、スプーンで混ぜると、異なる液体が混ざり合って、コップの中がぐにゃりと歪んで見えた。見ただけで甘いのがわかる。その中に、色とりどりのサイコロ状の寒天を放り込むと上昇して消えるだけだったはずの泡が、寒天にピタリとくっついて光を反射させた。その上にお月様の欠片を1つだけ混ぜ込むと、蛍光灯のついた明るいリビングでもわかる程に、赤や黄色、緑、青のただの寒天が若い宝石のように、月の光を通して輝いている。うっとりとするその光景をしばらく眺め、泡の弾ける音に耳がくすぐったいと思った時、喉が渇いていたことを思い出した。月のソーダ水に口をつけ、喉を冷たいものが通りすぎた時、天文学者の姉と、私の好きだった彼の誓のキスの映像が突然フラッシュバックして、胸がチクリと傷んだが、そんなことより自作したソーダ水が甘すぎて、そのせいで、全く不本意に、涙が出てきてしまった。

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