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『さみしい夜にはペンを持て』を読んで

感想

まずは10日間、日記を書いてみようと思いました。出来事ではなく、考えたことの日記。私自身「思う」と「言う」の距離を感じることは多い。言いたいことが言えない、言いたいことがないわけではない。でも、自分の考えがない、みたいな。「書く」と「話す」の違いもまた然り。人を傷つける表現や誤解される伝わり方を避けたくて、言葉を探して探して選んで会話する。「書く」は圧倒的に自分に足りてない経験だと思う。書きたいことがない時には「書くことがない」と書き出してみる。まずは書き出してみることが必要らしい。誰に読ませるでもない、未来の自分という読者に向けた文章の積み上げを私もしてみたいと思いました。日記の向こうに読者がいると思ったら分かってもらおうと努力をする。分かってもらおうとするから、自分の感情を整理する。分かってもらおうとするから、言葉を丁寧に選ぶ。分かってもらおうとするから、言葉のペン先を細くして、言葉の色彩を豊かにする。全ては読者(未来の自分)に分かってもらうため。日記を書くことで向き合える自分に早く出会いたいという気持ちになりました。

心に残ったフレーズ

物語形式でストーリーが進むので原文そのままではなく、読み返したい、ハッとした表現やフレーズをいくつか。

言葉にすることの喜び、誰かに話すとスッキリする。それは頭の中を大掃除するような気持ちよさ。

1章 「思う」と「考える」はなにが違う?

誰かと会話をした時、深く考えずに発した言葉に自分でも驚くことがある。「あ、自分ってそんな風に考えていたんだ」って。思考が一気に進む感覚。話して整理される感情が確かにあることを私は知ってる。

おしゃべりと文章の最大の違い、それは消しゴムの存在。おしゃべりと違って、文章には消しゴムがある。つまり何度でも書き直すことができる。一度口に出してしまった言葉は取り返しがつかない。これはおしゃべりの1番恐ろしく難しいところだ。そして自分の発した何気ない言葉が誰かを傷つけたことを知ると自分で自分を許せなくなる。書き直しは自分との対話。

1章 「思う」と「考える」はなにが違う?

書くことは話すことより圧倒的に自分との対話を進める手段。何回だって取り消せる。文章を書くだけじゃ自分の気持ちは分からない。書いて、読んで、こうじゃない、と消しゴムを入れて、また書く。これを繰り返して今の自分にとっての答えに近づいていく。書き進めることでどんどん深い対話ができるようになるらしい。理屈では分かるけど、自分の考えを掘り下げる、それが難しいよね。

「どうしてなんとなくのままじゃダメなの?」「何も解決しないからだよ。なんとなくイライラする。なんとなく不安になる。なんとなく嫌いになる。そうやって、自分の感情をなんとなくで片付けていても何も解決しない。」「答えは見つけるものじゃない。出すものだ。今の自分が、あの時の自分の感情に答えを出す。あの時の自分はこうだったはずだと答えを決める。そうやって決めないことには、何一つ書けないんだ。」

3章 きみの日記にも読者がいる

「答えを出さない、答えを決めない。そうしているうちはずっと可能性が残る。こっちにも行けるかもしれない。あっちに行くこともできそうだ。そういう可能性を手元に残しておきたい気持ちはよくわかる。でもね、可能性の中に生きてる限りは物事を真剣に考えなくなるんだ。確かにタコジローくんの思いは真剣だろう。だけど、その思いを考えにまで高めたいんだ。考える事は答えを出そうとすることだ。答えを出そうとしないまま保留しているのは何も考えないのと一緒なんだよ。」

3章 きみの日記にも読者がいる

心当たりがある感覚すぎてドキッとした。なんとなくで片付けるのは楽だけど、その感情に向き合う時間を持ちたいと思ったらやっぱり書くことを始めたいな、と。また、なにかを表現する時「やばい」で片付けてしまいがちな「凄い」や「かっこいい」..その他数え切れないくらいの感情や意味を持たせられるこの表現を極力使わずに言葉にしたい、と常々思っている。「思う」を極めて極めて「考える」フェーズに持っていく習慣作りにも、書くは有効だ。

考える習慣を持たなかったら、誰かが用意してくれたわかりやすい答えに飛びつく。いかにも自分の悩みを解決してくれそうな都合の良い答えに。確かにわかりやすい答えがあれば納得する。頭の濁りも解消したつもりになれる。でも、そうやって飛びついた答えが偽物だったら?自分で考える力を持たなかったら、その嘘も見抜けなくなる。考える習慣は書く習慣。

3章 きみの日記にも読者がいる

おしゃべりは1つの場所に立ち止まらせてくれず、1つの考えに集中させてくれない。だから自分の考えを深めていくためには1人になる必要がある。ひとりの場所で、ひとりの時間に、自分ひとりと向き合って書くからこそ1つの考えが深まっていく。誰にも合わせず返事じゃない言葉(誰かへのリアクションではない、自分の言葉)を書いていくことが大切。

3章 きみの日記にも読者がいる

「考える」ことの大切さ。考えるために、考えを深めるために必要なのがひとりで自分に向き合う場所と時間。

「思いついた言葉、気になった誰かの言葉、気になった風景、気になった音。なんでもメモする習慣を持っておくと、日記を書くのも楽しくなっていくよ。」「メモは言葉の貯金。コツコツとメモを取って、言葉の貯金を貯めて、日記というダンジョンの中で好きなだけ散財する。」

4章 冒険の剣と、冒険の地図

日常的にメモを残すことは自分の感情を明確にすることだと思う。すきなもの、嬉しかったこと、楽しかったこと、モヤモヤしたこと、どんな感情も景色も、忘れてもまた思い出せるように、どんな手段でもまずは「残す」ことを習慣にしたいと思いました。

この袋とじを開けるのはまだ少し先

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