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気持ちを吐き出すことはなぜ大切か?吐き出さないと起こりやすいこと。

私たちは、子どもの頃から「自分の気持ちを吐き出すこと」が大事だと言われてきたと思います。

親や友達、学校の先生、上司やカウンセラーさん・・・様々な人から「辛くなったら話してね」と声をかけられてきたと思います。
反対に、誰か辛そうな方・悩んでいそうな方が周囲にいたら「なんでも話してね」と声をかけることもあったと思います。自分の気持ちを語らない人・語れない人は、心身症(以下に詳細あり)になりやすく、心理学では「アレキシサイミア」と呼ばれます。

今回は、「自分の気持ちを吐き出すこと」がなぜ大切かを考えてみたいと思います。
「気持ちを吐き出すこと」の大切さを語る前に、「語らない・語れない」とどうなるか?を考えてみたいと思います。

アレキシサイミアとは?

・自分の感情を言葉で表すこと・他人に伝えることが苦手
・感情と身体感覚を区別することが苦手
・想像力が乏しい
・自分の感情より、客観的な事実に関心が向かいやすい(できごとの状況は伝えられても、その時どう思ったかと聞くと困惑しやすい)

どうして心身症になりやすいか?

自分の感情に気づき、言葉にすることは、一種のストレス発散作用を果たしているが、それができなくなると、身体症状として表現されるようになり(身体化)、心身症につながるのではないかと考えられているそうです。

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実際、感情を言葉にすると、脳の感情に司ると言われている部位、「扁桃体」の興奮を抑えると言われています。
(ちなみにですが、リストカットなどの自傷行為も扁桃体の興奮を抑えるそうです。)

脳の作用的にも、感情を言葉にすることは、気持ちのコントロールに有効だと言えると考えられます。


心身症とは?

・喘息
・本態性高血圧
・慢性胃炎
・潰瘍性大腸炎
・神経性食欲不振症
・過食症
・過換気症候群
・アトピー性皮膚炎
・慢性蕁麻疹
・周期性嘔吐症
・頭痛
・肩こり
・アレルギー性鼻炎
・心因性難聴
・めまい
・自律神経失調症   など、様々な身体不調が挙げられます。


アレキシサイミアの方の脳の働きについて

脳の画像研究で、以下のことが明らかになっています。

・外的な情動刺激に対する鈍麻
・身体感覚・運動処理への依存
・他者理解などの社会性は自閉症スペクトラムとのオーバーラップが示唆

 視覚から得られる情動刺激と、想像性に関わる課題に対しては辺縁系・傍辺縁系(扁桃体・島皮質・前帯状回・後帯状回)の反応性が低下していたそうです。
一方、身体的な感覚運動レベルの課題・刺激に対しては、島皮質や感覚運動領域をはじめとして脳機能は亢進していました。

こうしたアレキシサイミアの脳機能の特性は、言葉より身体症状で訴える(身体症として表出する)ことに繋がっていると考えられます。


治療について

 心身症がある場合は、心身症の治療と心理療法がベースになるようです。
 また、ストレス解消のためリラクゼーション法を身につけることもお勧めされています。
 感情を表出することに困難があること、それが心身症に繋がっていることに気づくことが大切です。
 治療については必ず専門の医師に相談しましょう。


気持ちに気づく・話すことの意味

自分の感情に気づかない・言葉にしないことは、心身症などの身体化につながることを学びました。気持ちに気づく・言葉にすることは、ストレスコーピングの一つです。
自分では気づいていないかもしれませんが、体の不調の原因の一つに、自分の気持ちを吐き出していないことがあるかもしれません。
この機会に、自分の気持ちに気づけているか、また言葉にしているかを考えてみるのも良いと思います。

もし、気持ちに気づくのが苦手だと感じた方は、カウンセラーさんや医師などの専門家に相談しながら、訓練されることをお勧めします。


<参考文献>
・e-ヘルスネット.厚生労働省.失感情症(アレキシサイミア).https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-006.html
・心身症とアレキシサイミア ―― 情動認知と身体性の関連の観点から ―― 守口善也.Japanese Psychological Review.2014.Vol. 57. No. 1.p77-92

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