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怠惰な放浪夢想

どこかに行きたい、と定期的に思う。


実際に行くのはどこでもいいのだけれど、普段のルーティンから外れたところに行きたい。

海でも喫茶店でも神社でも北海道でも、本当にどこでもいい。


こうして文字を打ちながら、自身の要求とは全く真逆の行為をしていることにあきれる。



私は受け身だ。

何事に対しても、釣り糸を垂らして獲物がかかるのを待っているような人間である。現実に実現可能だと確信しない限りは何もしない。逆に言えば、釣り糸にかかりさえすれば幅広くなんでもするのだけど。


本当は日本中を飛び回りたいと思っている。し、実際できることもやっている人がいることも知っているけれど、私の中で「GO」が出ない。


お金がないとか、ウイルスの猛威があるから実行に移せないとか、一緒に住んでいる人がいるからとかいろんな理由をつけるけれど、結局のところ本当の意味で「アリ」にならないのだろう。



こうしている間に、少しずつ「どこかに行きたい」という気持ちが死んでいくのを感じる。わけもないのに自分の要求は実現しないと絶望している。

叶えないのは自分自身なのに、誰かのせいにする。どうしたら実現できるかを考えた方が建設的なのもわかっていて、逃げる。ただ億劫なのだ。

怠惰。



いっそ、誰彼構わず捕まえて誘ってみるのもいいのかもしれない。ただ、実際捕まってしまうと今度は予定を立てなければならない。それは困る。

私は人と予定をすり合わせるのが苦手だ。誰かとどこかに行きたい気持ちより面倒くささが勝ってしまう。


予定が近くなってくると、やっぱりキャンセルしたいとか相手はあまり乗り気ではなかったのに無理に誘ってしまったのでは?とか考えてしまい憂鬱で押しつぶされる。なんなら当日会う直前までそう思っている。

行ってしまいさえすればめちゃくちゃ楽しいし、行ってよかった、また行きたい!と思うのに。


あの憂鬱な時間は何なんだろうか。本当に厄介だ。




誰かと行くのを考えることが面倒だから、一人で出かけることも多い。

海も焼肉も大阪も東京も一人で行ける。


ただ、時世からおおっぴらに言うのはためらわれるが、飲食店はできれば誰かと行きたい。

特に初めていくお店の場合は色々と頼んでみたい。一人だと胃の容量にも予算にも限界があるが、誰かと一緒なら分け合いっこできるしそこまで高くつかない。それに、なぜかはわからないが誰かと食べたほうがたくさんの量を食べられる。

そのお店や食事を最大限楽しみたいから、誰かと一緒に行きたいのだ。



だれか、隔週1回くらいのペースでどこかに連れて行ってくれないだろうか。近所の神社でも本屋でも沖縄でも、どこでもいい。


なんなら、玄関で「行くよー」ってラフに言ってくれないだろうか。


そんな都合のいい人はいないとわかっているけれど、怠惰な釣り人にはそういう人が必要なのだ。


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