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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

映画感想②

・1600字強

・前回の続き


・もののけ姫

 ジブリ作品は動画配信がされていないので、友人に連れられてレンタルビデオ店にでも行かないと見る機会がない。

 もののけ姫はシナリオを文章に起こしてもあまり面白いものではなく、あくまでリアリティのある美しいアニメーションを描くという目的に全振りしたシナリオであるという印象。

 面白い面白くないとかではなく、心が終始 ”凪” だった。

一匹持って帰りたいね


・千と千尋の神隠し

 ジブリ作品、ネットではあらゆる感想が書かれ尽くされてるだろうから、もう「私ならではの着眼点のレビュー」なんて書けない。あのー、お話が面白かったわな。ほんでアニメーションも綺麗やってな。ヤバかったやで。

 特にオクサレ様のシーンが良かったな。

 多くの作品において、主人公は「死にたくないから」とか「金が必要だから」みたいな言語化できる理由をもって行動している。貴方が最近鑑賞した、その映画とか、あの漫画の主人公もそうじゃなかった?

 しかしオクサレ様のシーンは……

 ヘドロの塊みたいな疫病神の接待を押し付けられた千が、オクサレ様を湯に入れ、さらに湯を追加し、ゴミを引き抜こうとする。

 そんなことしても千に金銭的なメリットは期待できないのに、「目の前の汚すぎる奴の汚れを全部落とせたら気持ちいいだろうな」という合理では説明のつかない感情に突き動かされ、いつの間にか千に感情移入して「いけいけいけ! やったれやったれ!」と応援する自分がいたな。

 もし私がゲームのコントローラーで千を動かせるなら、確実にオクサレ様を洗う方向に操作していただろう。そして実際、千は期待通りに動き、成功してくれたから嬉しいのだ。

 映画内で人が死のうが、大金を得ようが、世界が滅ぼうが、そんなものは全て液晶画面の向こうの話なので嬉しさや悲しさはない。しかし、ヘドロの塊を洗い流せたら、それが液晶画面の向こうの話であっても確かな ”””嬉しさ””” がある。

 仮にそのシーンが、千が湯婆婆に「あの客を綺麗にしないと解雇だよ」あるいは「綺麗にしたら金一封だよ」と動機づけられてオクサレ様を洗うような展開だったら、面白さは9割減だったと思う。

 文脈によって意味づけられた嬉しさや悲しさなど、液晶画面のこちら側の人間にとってはどうでもよい。

かわいいね


・文脈による利害の紐づけが多いほど一般的には「大人向け」と言われる傾向があるが、実際には「オタク向け」と呼称した方が適している気がする。

 バトル漫画においては、バトルが発生する理由を作るために複雑な利害関係が築かれることがしばしばある。例えば「友人が一族を滅ぼされて鬱になってるので、その敵討ちとしてアイツを殺す」という目的でバトルが発生したとき、読者の脳内で「アイツを殺す=嬉しい」が紐づくまでにいくつかの「意味付け」を経由することになるのだけど、その意味付けの壁を超えてなお「この展開アツいな~」と思える読者は紛うことなくオタクである。

 バキは登場人物全員が「バトったら楽しいからバトる」くらい単純明快な目的で動いているので、ストーリーも簡素で、非オタクに優しい。

 今の文章は理解されようと思って書いていないので大丈夫です。


・①生きていく上で必要がない感情、②でも自分の内心に確かにある感情、③そして一般的に言語化されていない感情という3条件を満たした感情が刺激された映画があったとき、その映画は私の中で殿堂入りする場合が多い。

 例えば「昭和を再現した帝国があったら、童心に帰ったまま永住しちゃうかもな」とか「自分の郷土が蔑まれたら反論したくなるな」とか「健忘症の子供が私のことを覚えたら嬉しい」「日本最古の心霊ビデオを特定して発掘できたらウケるよね」「自分がハロウィンの世界の住民だったら、クリスマスに甚く憧れるかもな」とか、そういう感情である。

 そういう作品ってなかなかないので、ご存じだったら教えてください。



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