一番大きな「数字の銀行」は?

2021年5月、三重県の三重銀行と第三銀行が合併し、三十三銀行になった。ウィキペディアによると銀行名の由来は、三重をさんじゅうと読んで、第三銀行の三と合わせて「三重三=三十三」ということである(三十三フィナンシャルグループのホームページには、「旧三重銀行と旧第三銀行のそれぞれの強みをプラス(+)する」と書いてある)。これは、旧銀行名を足し算して、「30+3=33」で三十三銀行としたと解釈してもいいかもしれない。

旧銀行名を足し算したことで有名なのは長野県の八十二銀行。1931年に六十三銀行と第十九銀行が合併してできた。このような「数字の銀行」(ナンバー銀行)は明治の初めにできた「国立銀行」に由来し、153までの数字の銀行があったが、2022年現在、元の数字が残った銀行は、第四北越銀行、十六銀行、十八親和銀行、七十七銀行、百五銀行、百十四銀行の6銀行だけになっている。この他の銀行のうち、40銀行は消滅したが、あとは名前を変えたり、合併したりして現在まで存続している。

ここでふと、考えてしまったのである。他の旧国立銀行も八十二銀行と同じように足し算されていったとしたら、果たして、いくつ銀行になっているのか?と。

少し調べたら、一般社団法人全国銀行協会さんが「銀行変遷史データベース」というものを構築していた。こちらで153の旧国立銀行の変遷を調べ、数字を足し算してみた。例えば、福岡銀行は十七銀行と筑邦銀行(現存の同名銀行とは別の銀行)が合併してできた銀行で、筑邦銀行は18の銀行が合併してできた銀行だが、そのうちの1つの前身が第九十六国立銀行なので、福岡銀行は百十三銀行という計算になる。

数字の合計が大きい上位10銀行がこちら。三大メガバンクが上位3位を占め、桁も4位以下と1桁違っている。

1位 みずほ銀行 =千百三十三銀行
2位 三菱UFJ銀行 =千百四銀行
3位 三井住友銀行=千八十八銀行
4位 第四北越銀行=三百九十九銀行
5位 静岡銀行  =三百七十九銀行
6位 広島銀行  =三百五十三銀行
7位 北陸銀行  =三百三十銀行
8位 四国銀行  =二百五十一銀行
9位 常陽銀行  =二百十六銀行
10位 荘内銀行  =二百七銀行

ここで一つ、断りを入れなければならない。2位と3位の2銀行の数字には分割買収された銀行の数字が含まれている。2位の三菱UFJ銀行には四十三銀行、3位の三井住友銀行には百三十七銀行が合流しているが、四十三銀行は6銀行に分割買収され、そのうち2銀行が三和銀行に吸収された。百三十七銀行は神戸銀行と丹和銀行(現・京都銀行)に分割買収されている。数字も分割して加算するべきかもしれないが、適切な比率が分からないので、とりあえず後の数字が大きい銀行を後継銀行とした。こういうイイカゲンな集計によるものなので、多少間違っててもお許し願いたい(御指摘は歓迎します)。

最後に、小ネタをいくつか。
・最初に書いた三十三銀行は、前身に旧国立銀行が含まれていないため対象外(旧第三銀行は、第三国立銀行とは無関係)。ちなみ、第三十三国立銀行は1885年に解散している。
・八十二銀行は百十七銀行を前身とする飯田銀行と合併しているので、実は百九十九銀行。ちなみに、十八親和銀行が百十七銀行、百五銀行は百八十八銀行ということになる(十六銀行、七十七銀行、百十四銀行は他の旧国立銀行とは合流していない)。
・第八十二国立銀行は第三銀行(現・三十三銀行の前身ではなく、旧第三国立銀行)に吸収されている。その第三銀行は安田銀行(後の富士銀行)と合併している。
・みずほ銀行の前身の一つである第一銀行は、戦時中に三井銀行と合併して帝国銀行となったが、戦後すぐ分離した。計算上は、合併は無かったものとみなしている。
・りそな銀行は、前身の大和銀行(旧野村銀行)が合併をしておらず、合流した旧国立銀行は、もう1つの前身のあさひ銀行に合流した八十五銀行だけである。

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