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《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第56話

五月九日(木)

 今日は、楽しく言えば川沿いのウォーキング。つらく言えば被害状況調査だった。
 先日、神奈川県が発表した塩分濃度計測結果とその被害予想は、この通りだ。

 トド川      : 塩分濃度 0.30% 用途 田   
            結果 まだ耕作していないため問題なし
 ヒツジ川と合流後 : 塩分濃度 0.12% 用途 田、畑
            結果 畑を耕作しているため問題あり
 平塚市境で合流後 : 塩分濃度 0.03% 用途 田、畑
            結果 濃度が低いため耕作に問題なし

 その詳細をこれから話すが、おそらく長々となるハズだ。申し訳ない。二日酔いで頭が回っていない。読み飛ばしてしまって構わない。

「ヒツジ川の源流は、カピバラ市ヒグマ地区の渓谷だ。そこでいくつかの沢と合流し水嵩を増した流れは、国道の下をくぐり、オランウータン公の首塚の脇を経て二股に分かれる。と言っても普段は別れたりしていない。大雨の時に水嵩が増すと二股に分かれる構造で、オーバーフロー分がブタ川に流れ込むようになっている。ヒツジ川分水路というやつだ。
 ブタ川は、厚木との市境の小高い丘から滲み出た清流の集まりで、アザラシ地区一帯の田畑を潤した後、これまた国道の下をくぐり、最終的に上ヤギ地区へと流れている。
 ヒツジ川の説明に戻そう。ヒツジ川はその後、ぬるま湯を流してきたトド川と合流し、水量が二倍近くへと増した後、下ヤギ地区を経て、平塚市境で先ほど説明したブタ川と、あともう一つの川と合流し、そこで水嵩をさらに四倍に増して平塚市へと流れ込む。そのまま蛇行しながら平塚市内で他の二本の川と合流し、最終的には相模湾へと繋がっている。
 畑で栽培される野菜として、この時期はレタスやにんじんが塩分濃度の影響を受けやすく、土中の塩分濃度が0.05%を超えると発育に影響があると言われている。ぬるま湯自体の塩分濃度は1.5%でそれを希釈するには、30倍の水量が必要だ。
 稲作は塩分濃度が0.1%以上になると影響を受けるとされているが、まだ用水の入水を待ってもらっている。」

 つまり、トド川とヒツジ川の合流地点から平塚市境までにある畑に影響が出ている可能性がある。
 なんだかつらくなってきたが、ジンベエザメからまた覇気を送られても困るので、元気にいこうと思う。

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