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ファイナンス思考を読んで

100万円受け取るなら"今"

ファイナンス的に考えると、今の100万円と5年後の100万円では今の100万円の方が価値が高くなる。もちろん5年後に受け取れるかが未確定だからというリスク的な要因もあるのだけれど、それよりも今から5年間100万円を運用したら5年後には100万円以上になっているからというのが主要な理由だったりする。

中々馴染みのない考え方だから、初めてこれを聞いてから納得するまでにはしばらく時間がかかる。だって運用したら100万円以上になるって、そんなこと言い出したらなんでもありじゃん、と思いたくなってしまう気持ちがどうしたって頭をもたげてしまう。

投資した以上の儲けが出るのが会社

ただビジネスという文脈で会社を捉えると、今の資産(この場合は100万円)を事業に投資して今の資産以上にする、要するに利益を出すことが目的の組織であって、基本的な考え方としては将来的に100万円を100万円以上にするからこそ存在意義があることになる。

そしてそうじゃない組織であると判断されてしまった場合、銀行や投資家はお金を貸してくれず資金が回らなくなって倒産してしまう。

この考え方が根底にあるため、ビジネスにおいては今の100万円の方が価値が高くなるというやや不思議な状態になる。そして今回読んだファイナンス思考という本では、このファイナンス的な少し不思議な考え方を企業がちゃんと理解していないがゆえに上手くいかないのだと説いている。

目先の売上よりも未来の利益

高度経済成長というのはざっくり言うと、売上の成長率が昨年比でずっと伸びている状態が続いて日本が躍進したということになり、現在でも売上を追い求める傾向は続いている。

しかし、ファイナンス的なものの考え方をすると来年の売上は減るかもしれないけれど、長期的に見れば価値の高い選択(例えば黒字の関連企業の売却など)をできるようになるし、アマゾンなどの巨大企業はそうしたこと上手にやっている、ということらしい。

売上を追い求めるというのは、基本的には今と同じ状況が続くという前提をおいて短期的な収益を求めるということで、1年後にどうなっているのかわからないような今の世界では、そのアプローチだけではしんどいことになってしまう。それよりも将来の価値を見極めて事業に投資できる能力、この本で言うファイナンス思考は今後とても大事になるかもしれない。

ファイナンス思考
2018年 朝倉祐介 ダイヤモンド社

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