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スタートアップのお金の集め方

スタートアップに貸す金はない

例えば自分で何か事業を起こそうとした時に、真っ先に考えることの一つが資金をどうするかだろう。自分の手元にうなるほどのお金がある人(前澤社長とか)はさておき、ほとんどの場合は誰かからお金を出してもらうことになる。

思い浮かべやすいのは銀行かもしれない。ちょっと前に土下座させる銀行員の話も流行ったし、イメージがしやすいと思う。

しかしスタートアップがお金を出してもらう場合は必ずしも銀行から出してもらう訳ではない。スタートアップは、当然だけれど失敗するリスクも高いから、銀行にとっては別に美味しい貸付先ではない。

だからスタートアップが立ち上げ当初から銀行からお金を借りるのは結構難しい。

貸すのではなく「投資」する

そこで登場するのがベンチャーキャピタルと呼ばれる人々である。最近ではソフトバンクのビジョンファンドのおかげもあってベンチャーキャピタルも昔と比べると馴染みやすい存在になっているかもしれない。

彼らはお金の貸すのではなく、投資する。つまりVC(ベンチャーキャピタル)はスタートアップから投資したお金の返済は求めない。こう書くとVCは見返りを求めない善意の集団かのようにも思えてしまうけれど、実は長い目で見ると銀行よりもずっと怖い存在だったりする。

VCは返済の代わりに何を求めるのか。それは優先株と呼ばれる株である。VCのスキームというのはとても単純で、投資した先から投資分の株を受け取り、そしてその投資先がIPO(株の公開)をするか、どこか他の企業に買収された瞬間に儲かる仕組みとなっている。

そしてVCは株式を投資の見返りに求めるからこそ銀行よりも怖い存在となり得る。

VCからの投資は美味しそうな毒りんごなのか

株を持っているということはつまり会社の意思決定に参加できるということに他ならない。そしてVCは投資した先が投資額以上の価値でIPOか買収されることが至上命題となる。つまりこれは、会社の意思決定に参加できる人が、しかし会社が目指すビジョンや目的とは別の目的を持って参加してくるということになる。

だから例えば、社長が成し遂げたいビジョンのための意思決定を、VCが儲からなさそうという判断で否定するという事態が発生する。

もちろん株式の51%を社長が持っていれば、社長が意思決定権を握っている状態は続く。しかし、VCの意見に耳を傾けなないわけにはいかず、結果として円滑な事業運営が難しくなる場合も実際にある。

返済しなくても良い夢のようなお金は、実は魔女が錬成した毒りんごだったという現代のおとぎ話がVCとも言えるかもしれない。

上質なパートナーとしてのVC

でもじゃあVCが絶対的な悪かというと、そうでもない。VCとしても投資先が成功してくれないことには儲からないわけだから、成功までをともに伴走するパートナーとして、アドバイスや場合によっては人材の紹介などのバックアップを行ってくれる。

だからスタートアップの会社にとって重要なことは「いかに信頼のできるパートナーになってくれるVCを見つけるか」ということだと個人的には考えている。

VCは賛否のある存在であるけれど、スタートアップにとって欠かせない存在だし、これからもその存在感は増していくんじゃないかと思う。

VCに関してはアメリカのテレビシリーズの「シリコンバレー」を見るとその実がよく分かるから、興味がある人は見てみてもよいかもしれない。

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