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われはロボット アイザックアシモフ

われはロボット
1950年 アイザックアシモフ

とても1950年に書かれたとは思えないのは、きっと普遍的な内容を語っているからなのかもしれない。ただ普遍的とは言ってもここで描かれているのは人間の感情だったりそういう類の普遍性ではなくて、プログラムにおける完璧なロジックの不完全さという、ややマニアックなものではあるけれど。

ロボット工学三原則
1.人間を傷つけてはならない
2.人間の命令に従わなければならない
3.前2条に反しない限り、自分の身を守らなければならない

物語の核はこのロボット工学三原則で、もし自律型のロボットを作るならこの原則は当然あって然るべきと頷くしかない条項になっている。でもこれがものの見事に人間を危機に陥れるから読んでいてとても痛快愉快。なんか落語に近い。(ロボット落語?)

例えば人間に指示されたロボットが途中で作業を放り出して行動してしまう。人間たちはこの不可解な行動に頭を悩ませるのだが、実は人間を傷つけまいとしての行動だったというオチだったりする。命令をただ愚直に実行するロボット達が時にとても可愛く、同時に憎たらしい。

でもこれってプログラミングをしていると日常茶飯事だったりする。完璧なプログラムが組めたぞーと勇んで実行ボタンを押すと、とんでもない結果を返すプログラムを前に頭を抱える自分。なんだか読んでいて登場人物のことが人ごとに思えなくなってきた。

70年も前に書かれた本が今でもこうして実感を持って読めることが素晴らしいし、だからこそ名作なのだと思う。こうした本に出会えた時になんだかとても嬉しくなる自分がいる。

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