『旅するダンボール』公開記念・特別試写会＋ワークショップ@THINK OF THINGS

夢は、世界中の段ボールを拾うこと。

「不要なものから大切なものへ」をコンセプトに、路上や店先で放置されている段ボールで、財布を作るCartonという活動を展開している段ボールアーティストの島津冬樹さん。詳しくはこちらを。

今回は原宿のTHINK OF THINGSで行われた特別試写会とワークショップの様子をご紹介します。

この日は初の一般の方向け試写会だったので多くのお客さんが足を運んでくれました。

試写会後には、島津さんと、この作品の監督である岡島龍介さん、プロデューサーの汐巻裕子さんの3人によるミニトークショーが行われました。

汐巻さんいわく、この映画はもともと島津さん本人が世界各国で旅をしながら段ボールを集める様子を自分で撮影する、セルフドキュメンタリーになるはずだったそうです。

岡島さんは島津さんが撮影してきた映像の編集だけをする予定でした。ところが、島津さんが海外で撮影してきた動画を確認したところ、使えそうな映像がまったくなく、撮れ高ゼロだったそうです。

段ボールが好きすぎる島津さんは、イケてる段ボールを見つけるとテンションがあがってしまい、撮影が二の次になって映っていたのは、段ボールにかけ寄る時の地面が中心。

本人の顔やリアクションはほぼ撮れていなかったそうです（笑）これはダメだという話になり、急遽、岡島さんが同行して撮影をするという方向に。

岡島さん、ここから、よく意味のわからない段ボール好き男の、よく意味のわからない段ボールを拾う旅に同行することになります。完全に巻き込まれてます（笑）

同行して撮影をし始めたはいいものの、当初は島津さんが語る段ボールの魅力など、何を言いたいのか、さっぱりわからず苦労したそうです。

そりゃー「段ボールって温かいですよね！」とか言われたら、ふつう何？ってなりますよね。岡島監督の苦労が目に浮かびます。

ん？

なんだ、このTシャツ！どこで買ったの？って言うか、なんで今日そのTシャツ選んだのーーー！！！

かっこ良くないですか、へへへー。不敵な笑みを浮かべる島津さん。

天然というか、よくいえばアーティスティックな感性の持ち主。

大量の段ボールを持って通過する世界各国の税関では、島津さんの前でかならずゲートが閉じるそうです。

でしょうね、でしょうね！絶対怪しいですもん。

大きなキャリーケースに、パンパンに段ボール詰めて、この男が現れたら警戒しないほうがおかしいです。

段ボールを拾いすぎて、カバンに入らないときは、持っていった洋服を捨てて、段ボールを入れるスペースを確保するそうです。

拾った段ボール　＞　洋服　　

ということです。意味不明です（笑）

それは、さておきトークショーの話に戻りましょう。

ドキュメンタリー映画を作る場合は、色んな映像を撮影した後、その素材を見ながら最後にディレクション（編集）するのが一般的なやり方らしいのですが、最後のエンディングをどうするかで、相当悩んだと岡島さんは言います。撮影をいったん中断した時期もあったそうです。

ヘタすると、ただの段ボール好き男のフェチ映画になる危険があったそうです。あぶなーい、段ボール好き男のフェチ映画はないわー。

監督とプロデューサーの汐巻さんが何度も話し合い、いろいろと試行錯誤するなかで「アップサイクル」というキーワードがでてきたそうです。

「アップサイクル」というのはあまり聞き慣れない言葉かもしれません。　不要なものやゴミとして捨てられるものを、形質は変えずに元のモノの特徴を生かして、より良いものにつくり変えることで付加価値を高めようとする考え方です。

リサイクルや再利用の次をいく概念として、ファッションやデザイン、プロダクトなどの分野で注目されています。

この「アップサイクル」と島津さんのアーティスト活動のコンセプトである「不要なものから大切なものへ」が結びついて、映画のディレクションの方向性が決まっていきました。

まあ、映画が完成するまでには、それ以外に起こったいくつかの奇跡が必要になるのですが、その話はまた今度にしましょう。

だって、この日も、映画を観た人がけっこう感動して泣いてましたからね。

意味わかんなくないですか？

この男の映画ですよ。

でもね、いいんですよ。ちょっとなんかくやしいですけど（笑）

ちょっと映像、見てみてください。

トークショー後は、段ボールで名刺入れをつくるワークショップも行われました。

鹿児島からこの試写会とワークショップのためだけに来たというお客さんもいらっしゃいました！

段ボールが好きな人って、島津さん以外にもけっこういるんですよ。世界にはいろんな人がいるんですね。びっくりしました。

ペヤングでペアルックの名刺入れ。めちゃくちゃ可愛くないですか！

これも素敵なデザインですね。

以上、『旅するダンボール』公開記念・特別試写会＋ワークショップ@THINK OF THINGSの模様を、頼母木がお伝えしました！

2018年12月7日（金）

YEBISU GARDEN CINEMA/新宿ピカデリー

ミッドランドスクエアシネマ（名古屋）、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIX仙台、MOVIX橋本ほか

出演：島津冬樹（CARTON）監督：岡島龍介
製作・配給：ピクチャーズデプト
公式サイトはこちら