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読書の記録『ぼけと利他』


母の父、私のおじいちゃんは
ぼけてたけど
いつもにこにこ
縁側に座ってお茶を入れ
お砂糖の一斗缶から
お菓子を出してくれた姿が
思い浮かびます。

「おまえのおやっさんもぼけて
 『どちらさんですか?』て
 よう言うてた」

って父が母に笑って言うのは
歳をとるってことはそういうもんだから
心配しなくていい
ということだと思うんだけど
母にしたら
自分も笑われる
自分の身内をバカにされた
と思ってしまうよう。
その気持ちもわかるような。

ぼけたっていいんだけどな

なんて言えるのは
母がまだ軽度で
何もなければよくしゃべり
よく笑っているからで
この先どうなるのかと考えたら不安になるし
少しでも進行を遅らせることができるのなら
病院行って薬飲んで
デイサービスにも行ってもらいたい

でもデイサービスの話をすると
母は「行きたくない」と泣いて怒り出す。

病院の待合室で座ってると
何のため?誰のため?という思いが
プライバシー保護のために流れている
訳の分からない環境音のように
言い表せない不快感となって
逃げ出したくなることもありました。

『ぼけと利他』
私が言い表せなかったことが
言葉になっていました。
私のモヤモヤもまんざらではなく、
でも視点を変えて面白がっていかないと。

読んでよかった。

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