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コロナ禍で考えた「自分がオーケストラの為に出来る事」とは…

前回の続きです。コロナの影響でキャンセルが続き、収入源である演奏会がなくなるというのは音楽家にとっては死活問題です。政府の保障を待っているよりも、まず自分で何ができるかと考えました。

東京交響楽団の一員として自分ができる事は何か

所属するオケの演奏会が次々にキャンセルが続き、一楽員として何ができるかと行動すべきかいうアイディアですが、正直沢山思いつきました。元々色んなアイディアはすぐに出てくる方なのかもしれません。

ほとんど活用されていなかった東京交響楽団YouTubeチャンネルの活用、東響の仲間達とのオンラインでの演奏や配信等。当時本当に色々アイディアが浮かびました。お客様にまた演奏会に来てほしい。お客様と繋がっていたい。何か発信しなければと思い頭の中はアイディアと不安で溢れてました。

しかし思いついたアイディアというものは具現化しないとただの妄想、幻想、理想で終わってしまいます。事務局に伝えようと思いましたが、冷静な自分も存在していました。

まず第一に事務局はキャンセル対応や振り替え対応など大変な作業をしていると考えました。そして第二に広報担当レベルできっと何か考えてくれているから個人レベルで動くのはよそうと思いました。僕はオーボエのプロですが広報は広報のプロです。

実際にノットとの演奏動画をYouTubeに無料公開してくれました。これは英断だと思いました。

このマーラー今見ると目頭が熱くなります。特に最後の盛大な拍手とブラボーを聞くと思い出してダメになります(笑)早くステージに戻りたい…。

ところで僕は元々楽団には色んな意見を率直に伝える方でしたが、あまり好意的に捉えられてもらえない事が過去にありました。全体の事を見て真面目に発言してもなかなか受け入れてもらえない。理解してもらえない。面白おかしくふざけた感じの方が重宝される雰囲気を感じた事があります。おそらくそれがきっかけなのか、今回自分が楽団という組織に対して昔よりもかなり遠慮しているんだという事に気づきました。本当だったら「何かやりませんか?」と色々提案したり誘えたかもしれない。でも遠慮して、気を遣って誘わなかったし行動しなかった。自分のオケの中での立ち位置を冷静に観察できました。普段個人レベルでは色々発信しているわりに、オケの中では自分は待っているタイプになってしまった。

そんな中、新日本フィルのテレワーク動画がアップされてました。

正直やられてもうたーって思いました(笑)しかもこれ、新日本フィルの公式YouTubeチャンネルじゃなくてトロンボーンの山口君(同い年)のチャンネルでの投稿なんです。なのでオケ全体に広がることはないと踏んでましたが、最終的にはフルオケになり、大きなニュースにまで。そして彼が新日本フィルでどういう立ち位置なのか想像できました。これを個人レベルで始められるくらい信頼されている。本当に素晴らしい活動だと思いました。

活動自粛で経営が大変なオーケストラがネット上でもSNSでもそれぞれが特色を出して活動する時代に突入したんだと思います。組織に属しながら個人レベルで何をできるか。

当時、僕が行動した事は「東京交響楽団の一員としては何もせず、団に必要とされるのをじっと待つ」という選択でした。自分から行動しないで連絡を待つ。必要とされれば連絡が来るだろう。余計な事はしない。

この選択からしばらくして、心境が変わるのですが、そんな中、個人レベルで行動にうつす事を決め、とある場所に連絡する事にしました。

続きはまた次回…


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