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短編断片集

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何の脈絡もなく、思いついた断片を書きます。 各章にはなんの繋がりもありません。 ただのメモだと思って頂いていいです。 カクヨムに同じものをアップロードしています。 http://… もっと読む
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「うるせえな。のぞくんじゃねぇよ」

「うるせえな。のぞくんじゃねぇよ」
「あっはー。画面見られたくねーのか」
「お前みたいなごくつぶしのおっさんに見られたいヤツなんかいねーよ」
「ちっ。しょうがねえな」

男はごろりと古いソファの上に寝そべった。

「45行目のコロンの後ろに中括弧入れな」
「えっ?」

少女は怪訝な顔をした。

「そんで無名関数を置いて、そこに処理を移すんだな」

少女はあっけにとられていたが、やがて画面をのぞきこ

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お嬢は紺色のワンボックスカーを見つけると、さっと助手席に乗り込んだ。

 お嬢は紺色のワンボックスカーを見つけると、さっと助手席に乗り込んだ。

「えっ? えっ?」

 わけもわからないまま、私は後を追って後部座席に乗り込んだ。運転席に座ったジャンパーを羽織った若い男が「お待ちしていました」とお嬢に軽く頭を下げ、車は動き出す。

「いつもお迎えに来てるお爺さんは? 黒塗りのリムジンじゃないの?」
「あれは皆様へのサービスですわ」
「サービス?」
「お金持ちが黒塗りのリ

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未来の家庭

家の中はしっちゃかめっちゃか、散らかし放題の惨状。帰宅した母は仁王立ち。
三人の子供と犬は全員否認。母はおもむろに口を開く。
「OK Google、誰がやったの?」