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ドイツ社会のVitamin B: にほんごクラブ(Japanisch AG)設立まで

日本語講師として本格的に活動を再開して、来月で1年になります。昨年の今頃は、勤め先での契約が予定より早く1月末までで打ち切られることになったためによる不安、失業手当の申請のストレス、子供たちのために時間が増えることへの期待など、色々と入り混じった気持ちでいっぱいでした。

結局自分ですぐにでもできることは何か、と考え、日本語講師業を再開、口伝えにぼつぼつと生徒が集まったのは、以前の職場が日系機関だったおかげです。「仕事探しのカギはVitamin B」とドイツ語で表現されることがありますが、BはBeziehungのB Beziehungは、関係や繋がりといった意味で、結局は「つてに頼るのが一番手っ取り早い」ということ。外国人にとってとくに難しいのがこの「つて」でしょう。その点、日系機関に勤めていたという日本語との接点があった私は、幸運でした。オンラインレッスンにまずは焦点を当てたのもよかったのかもしれません。そうこうするうち、中高生の保護者からの問い合わせが入りはじめました。ドイツの各都市にあるvhs(市民大学)では、通常中高生対象の定期講座は開催されないため、日本の漫画やアニメなどに興味を持って日本語を学びたくなったティーンたちの学びの場がかなり限られているから、と気が付きました。

学びの場がないのなら、作っちゃえ!ということで、近所のギムナジム(ドイツは中高一貫校システムです)に問い合わせ。日本の教免を持っていますが、非EU出身者がドイツで教免書き換えするためにはドイツ語最上級レベルC2が必要(2023年10月に調べた時点では)とあるので、現在B2の私はすぐに到達できるレベルでないこともあり、カリキュラムの一環としての日本語授業を目的とするのではなく、AG(クラブ)活動としての、日本語講座を提案しました。

実は、ここでVitamin Bが力を発揮したのです。1つ目のギムナジムは、子供が在籍する学校。校長先生に連絡したところ、保護者が行うクラブ活動はほかにも例があるとのことで、アイディアを大歓迎してもらえました。1つ目のギムナジウムでクラブ開催のめどが立ったことを武器に、2つ目のギムナジウムにも連絡。こちらも、他ギムナジウムでやるなら、とすんなり承諾がでました。これが、まったく関係のない日本人として(しかも公的機関で教えているわけでなく、個人レッスンしかしていないので、自称日本語講師と言われても仕方がないような状態)いきなり学校に連絡したら、もしかしたら、ここまですんなりとはいかなかったように思います。Vitamin Bとなってくれた我が子には、もちろん事前に承諾を得ていましたが、それにしてもさすがVitamin B社会だな、と実感しました。

Vitamin Bのおかげで、来月から始まる2学期から、いよいよ「にほんごクラブ」が始動します。1つ目のギムナジウムでは、最大15人のところ15人の申し込みがあったそう。一年前のように、またワクワクとドキドキと入り混じった気持ちでいっぱいです。どんな子供たちと出会うのか、楽しみー!なワクワクと、もしかしてドイツ語で教えないといけないんじゃ?!と今更ながら気が付いてバクバクと。そういえば普段のレッスンは英語で日本語を教えることでOKな生徒さんだけ取ってたんだった・・・

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