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Post-Separation abuse/ 離婚・別居後アビューズ

Post-Separation abuse(ポストセパレーションアビューズ)は、離婚・別居後の様々な嫌がらせ・虐待行為に名前をつけています。
 Out of Control @outofhiscontrol さんがまとめた図が参考文献もありわかりやすく、日本語に翻訳しました。

Post-Separation abuseは、この図のように、父母が別れても複数の種類の虐待がメリーゴーランドのように終わりがなくまわり続きます。

図の左の文章:

"別れることは、しばしば安全も自由も、もたらさない"

(1)

被害者にとって別居後の虐待は、元パートナーによる虐待と、直接的または間接的な制度による虐待の二重構造で続いている。これは子どもにも大人にも影響する。

別居後の虐待には、加害者によるさまざまな行動や手口が含まれ、それは継続的かつ累積的である。これらはメリーゴーランドのように回り続け、被害者はいつ虐待が止まるのか、止まるのかわからない。

「別居後の虐待は、元親密なパートナーに対する継続的で故意の脅迫のパターンと定義することができる」

(2)

メリーゴーランドの木馬にあたる、虐待の種類:
翻訳の際、加害者を彼・父親、被害者を彼女・母親としています。

法律と制度の乱用 

(ポストリーガルアビューズ)
虐待を続け、母親を支配する手段として裁判制度を利用し、操る。警察、社会福祉サービス、CAFCASS(注1)を悪用し、嘘のストーリーを作る。

経済的虐待

資金や資産へのアクセスを妨害する。養育費を保留する。就労、就労能力、福利厚生を妨害する。

ジキルとハイド行動

母親の行動と矛盾した行動や子育てをし、子どもに混乱や恐怖を引き起こす。子どもに敵対的であったり、甘やかしたり、無関心であったりする。

嫌がらせと脅迫

電子メール、テキストメッセージ、電話、ソーシャルメディアなどで、母親に頻繁に望んでいない連絡を送る。ストーカー行為や第三者によって彼女の行動を追跡する。

カウンターペアレンティング

母親の子育てを妨害する。接触の妨げ、割り込み、保留するなどして母子関係を妨害する。母親は子供の親権を失う可能性がある。

児童虐待と孤立 


強圧的、支配的、操作的な行動で直接子供に危害を加える。放任的で危険な子育てをする。子どもたちを見捨て、彼らのニーズ、欲求、感情を否定する。子どもたちを家族や友人から孤立させる。

被害者非難

 父親は母親の信用を落とすために、非難と間違った主張の中傷キャンペーンを開始し、彼女の精神的健康について頻繁に虚偽の主張を行う。「母親を加害者、父親が被害者」というレッテルを貼る(DARVO (注2))。

被害者を無視し、孤立させる

子どもや大人の被害者は、精神的、実質的、経済的、法的な支援を受けられない場合がある。彼らは自分で自分の身を守るために取り残され、コミュニティから孤立する。


図の参考文献
(1)Katz, E., Nikupeteri, A., & Laitinen, M. (2020). When coercive control continues to harm children: Post-separation fathering, stalking, and domestic violence. Child Abuse Review, 29(4), 310-324.

(2)Spearman, K. J., Hardesty, J. L., & Campbell, J. (2022). Post-separation abuse: A concept analysis. Journal of Advanced Nursing, 00, 1-22.

*Dr Emma Katz (2022) Coercive Control in Children's and Mothers' Lives. Oxford: Oxford University Press.

**Freyd, J.J. (1997) Violations of power, adaptive blindness, and betrayal trauma theory. Feminism & Psychology, 7, 22-32.

(注1)CAFCASS 
子どもと家庭裁判所の相談支援サービス (Cafcass) は、家族訴訟に関与する子どもの利益を配慮します。裁判所や社会サービスからは独立していますが、家庭裁判所の規則と法律に基づいて子供とその家族と協力し、個々の子供にとって何が最善の利益になると考えられるかについて裁判所に助言します。

https://www.gov.uk/government/organisations/children-and-family-court-advisory-and-support-service

(注2)DARVO
'DARVO' はdeny, attack, and reverse victim and offenderの頭文字を取った虐待者の共通戦略です。
不正行為の加害者とされる者が、自分の行動の責任を追及されることに反応して示す可能性がある反応を指し、被害者非難を伴う事が多いです。

参考:2023年に、イングランドとウェールズでは、別居後のcoercive controlが犯罪化されています

https://twitter.com/pakumogu777/status/1656640795016069123?t=JjMRKo4y1AgEe6ABq0us7Q&s=19