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子供嫌いがママになった話

ももです。

かつて、私は子供嫌いでした。
バタバタと駆け回り、泣き喚く、うるさい存在が嫌いでした。
ひとりっ子であり、小さな子供と触れ合う機会がなく、接し方がわからないということも拍車をかけたのかもしれません。

そういうわけで、結婚しても「子供が欲しい」などとも考えず過ごしました。
仕事柄、残業も多く、バタバタとしていました。
ママになるなんて、想像したこともありませんでした。

ですが、結婚して数年経ったある日、なぜか
「子供を産むなら今だな」
と思ったのです。

また、同時に
「人生経験として出産と育児をやってみてもいいな」
とも思いました。
(これについては批判もあるかと思いますが、素直な気持ちでした)

夫に相談すると「やってみようか」ということになりました。
特に子供が好きでもなく、強く望んでいるわけではない夫婦が、父母となる可能性が生まれました。

ほどなくして、男の子を授かりました。
小さな点から始まったその命は、すくすくと成長しました。

次の妊婦健診を受けるまで、ちゃんと育っているか不安なときもありました。
酷いわけではなくとも、つわりや妊娠中のトラブルも人並みに経験しました。
それでも、新しい命に「かわいい」と思えている自分に驚きました。
理由は特にないのですが、なんとなく「どちらかというと女の子がいいな」と思い、お腹の中の赤ちゃんにも女の子の名前で呼びかけていました。

ところが、何回目かの健診で「男の子ですね」と伝えられました。
その日の帰り、「意外だったけど、男の子もいいな」と思えた自分に少しほっとしました。
すぐに名前辞典を買い、男の子の名前を付けて呼びかけるようになりました。
それに返事するように、元気いっぱいにお腹を蹴ってくる子を愛しく思えるようになりました。

そして、運命の日。
予定日より2週間以上も早くその時はやってきました。

寝ていると、「尿を漏らしてしまった!」という夢を見ました。
慌てて起きると破水していました。
すぐに病院へ行き、待機することになりました。

聞こえてくる、お母さんたちの出産時の辛そうな声。
「そんなに大きな声を出すか?」と、このときの私は不思議に思っていました。

陣痛が始まり、それが徐々に痛みを増していきます。
どれぐらいかというと、"3度も嘔吐してしまったくらい"です。

陣痛間隔が数分になってやっと分娩室に入りました。
それからのことはあまり記憶がありません。
たぶん、どのお母さんよりも大きな声は出したでしょう。それぐらいしか覚えていません。
とにかく、息子は誕生しました。
かなり痛みが強くなってから、8時間経った頃でした。
(これでも初産婦では安産と言われます)

対面した子供は体の何もかもが小さく、写真で見た夫の幼少期の顔に似ていました。
思わず、
「会いたかったよ」
と小さな声で言いました。

少し経った頃、家事も育児も苦手な私に発達障害の診断がつきました。
今でも苦手ですし、うまくやっているとは言えません。試行錯誤しながら生きています。
当たり前だけど話が通じず言葉も話せず、何を考えているのかわからない、ただ泣き続ける赤ちゃんに限界が来て、「なんでわからないの!」と怒鳴ってしまったこともあります。
4歳になった今でも、育児が辛いときだってあります。
それでも私はこう思います。

「生まれてきてくれてありがとう。大好きだよ」と。

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