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4月3週:今週の映画ニュース | mofi 203号

ハリウッドの「中の人」全員が読む、毎週1500本の主要業界紙の記事の中から、知っておきたい必須のニュースを厳選してお届け。

【興収:4月第3週】ホラー快作『A Quiet Place』が3週目にして首位返り咲き

『アベンジャーズ』最新作の公開を翌週に控えてはいるものの、今週の興行は案外「嵐の前の静けさ」とはいかなった。ジョン・クラジンスキー監督デビュー作のホラー映画は客足途絶えず首位奪還。国内累計$132Mを売り上げ、制作費$17Mの映画として最上級の利益率を計上中だ。2位はドウェイン・ジョンソン主演のゲーム原作『Rampage』。トップの座は奪われたものの、粘っている。エイミー・シューマー主演のコメディ『I Feel Pretty』は初登場3位に終わり、残念ながら不発の模様。最大の番狂わせは『Super Troopers 2』。17年前のオリジナルの累計興収を初週だけで超えてしまう大ヒットだ。(O)


【映画】J・J・エイブラムス、『スター・ウォーズ』第二撮影班の監督にマイノリティ女性を起用

女性であるのみならず、アフリカ系アメリカ人であるヴィクトリア・マホーニーが採用された。第二撮影班とはいえ、マイノリティに属す女性を監督に据えたことは快挙。とはいえ、アヴァ・デュヴァーネイから発表がなされたことも含め、今回の報道は明らかにパフォーマンス感がある。ディズニーがジョン・ファヴロー監督による同フランチャイズ新作を企画していることを「女性の日(International Women's Day)」に発表したことへの反発があったのも記憶に新しい。火消しの広報活動に動いているのは想像に難くない。(O)


【ネット】高精度の動画合成技術「ディープ・フェイク」の恐怖 J・ピールが警鐘

かつての看板番組「Key & Peele」でオバマ大統領のモノマネをするのが十八番だった、いまをときめく映画監督のジョーダン・ピール。リンク先の動画は、彼がいま物議を醸している合成技術「ディープ・フェイク」を使い、実際に「オバマ大統領」になりすまして話す様子を収録。危険な技術をあえて実践することで、注意喚起を促す有意義な活動だ。(O)


【ビジネス】ムービーパスのビジネスモデルに「重大な疑義」 独立監査企業が発表

定額制の映画見放題サービス「ムービーパス」の親会社「Helios & Matheson」が公に公開している会計資料によると、同社は2017年に$150Mにもおよぶ損失額を計上している。これはそのまま同社が「ムービーパス」を買収した際の費用として分類されているが、独立監査企業であるRosenberg Rich Baker Berman & Co.は「ムービーパスは根本的に継続不能のビジネスモデルだ」と警告。これを受けて同社の株は急降下しており、利用者の間では懸念が広がっている。(O)


【社会】多様性推す「インクルージョン・ライダー」運動、大手は腰重く

キャスティングをはじめとした映像製作の契約書に、多人種および女性の起用を数値的に義務化する条項を盛り込む「インクルージョン・ライダー」。この考え方を広めたのは、昨年のアカデミー賞受賞者のフランシス・マクドーマンドだった。彼女のおかげで、同概念は認知度を一気に高めたわけだが、賛同するスタジオはまだまだ少ない。大手の腰の重さが、同運動にブレーキを起こしかねない状況に陥っているようだ。(O)


【社会】米女優アリソン・マック 性的人身売買の疑いで逮捕

テレビドラマ「ヤング・スーパーマン」のレギュラーとして活躍した同女優の逮捕は、Keith Reniereというビジネスマンが代表を務める「女性のサポートとメンターシップを提供する福祉集団」を名乗る団体「Nxivm」への勧誘を行っていたことによるもの。発音の仕方すらわからない同団体は実はカルト集団で、入団した女性は性労働に従事させられていたそう。サイエントロジーも赤子に思えてくるような実態だ。(O)

編纂:小原康平 / 初出:2018/04/23  第203号
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