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「推ししか勝たん」という感情への理解(推し燃ゆ読みました)

よく書店で見かけていつか読もうと思っていた「推し、燃ゆ(宇佐美りん)」。
古本屋で見つけてようやく買いました。一気に読んじゃった。

推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。

内容(「BOOK」データベースより)

私のオタ活

まずは私自身の話から…。
漫才コンビのオードリーが好きなのですが、
2008年頃かな。M-1で火がついた頃にラジオを欠かさず聴いて、過去のブログを読みあさって、テレビに出たら逐一チェックして、見逃したらネット情報を隈なく探す…みたいな時期がありまして。
ハマってる時は自分の生活や学業そっちのけなんですよね。

今では深夜ラジオは聴かなくなったし、テレビもあまり見られなくなったけど、ずっとお二人を応援してます。
結婚や出産のニュースはめちゃくちゃ嬉しかったです。
この前たまたまテレビをつけたら春日さんが「奥さんが一貫200円の大トロ選んでるの見て、口では止めないけど内心やめてくれって思う」って言っててブレないなって安心してました。

あとAKB48とか乃木坂46、ももクロにもはまってた時期がありました。
可愛くて可愛くて。あとチーム内での人間関係とか気になっちゃって。
でもライブ行ったりCD買ったり、ということはほとんどしていなくて
メディアに出てるのをずっと追っちゃうタイプのオタクでした。

自分と推しとの距離感

※以下ネタバレも含むので未読の方はご注意ください

そんな昔を思い出して読んでいて、特に自分と重なったのはここ。

相手と話して距離が近づくこともない、私が何かをすることで関係性が壊れることもない、一定のへだたりのある場所で誰かの存在を感じ続けられることが、安らぎを与えてくれるということがあるように思う。

本著より

直接関わりたいとは思わない。「好き」を伝えたいわけじゃないんです。
むしろ引いて見てたい。私はこのスタンスでした。

逆に違うと思ったのは、
私は自分とは切り離して楽しむタイプのオタクだけど
主人公のあかりちゃんは自分のアイデンティティを
強く真幸くんに依存させてるんですよね。
CDやライブグッズをたくさん買うためにしんどいけどバイトするし、
推しの誕生日にはホールケーキを買ってきて、吐くまで食べる。
いわゆる「ガチ勢」。

経済的負担を苦にしなかったり、布教活動が熱心だったりする
ファンの方の行動原理って、私にはピンと来てなかったのですが
この本読んで少しわかった気がします。
そのくらい描写が秀逸・丁寧ですっと入ってくるんです。
実在していそうな人物の描写力。

推しとの訣別

そんな陶酔していた推しが芸能活動を引退することになるんですが、
それを踏まえての最後の描写がすごかった。
主人公は自分を壊したくて衝動的な行動に出ようとするけど、
ふと、そんな状況でさえも冷静に考えている自分に気づくっていう。
これが自分の生き方だ、ここで生きていくんだと。
絶望と希望の入り混じる結末でした。

全然うまく伝わってないと思いますのでぜひ読んでみてください。
馬鹿みたいな感想ですが、宇佐美さんの文才がすごいので!
あぁ「尊い」って別の表現にするとこういうことか、と。
みんなの感想を聞いてみたい本でした。

青い装丁

やっぱり装丁好きとしては
表紙・見返し・本扉・スピン・花布、全部青なの見ちゃいますよね!! 
(青は主人公の推し真幸くんのカラー)
デザインは佐藤亜沙美さんです。

わかりにくいけど、花布も青!
シルバー特色が眩い。


ここまで読んでくださりありがとうございました。
好きな対象のことだけを考える時間は自分のためになったような、なってないような。でもプライスレスだった…。
そんな私ですが、今はフリーランスでイラストやデザインの仕事をしています(宣伝)
本に関わる仕事したい!がんばる!
https://tomoda.moe

おわります。

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