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在職老齢年金制度の改正案

在職老齢年金制度も改正されるという報道がされていましたが、厚労省から資料が出されましたのでそもそも在職老齢年金制度は何かというところから解説します。

○ 在職老齢年金制度は、現役世代の負担が重くなる中で、報酬のある者は年金制度を支える側にまわってもらうという考え方に基づく仕組み。
○ 具体的には、厚生年金の適用事業所で就労し、一定以上の賃金を得ている60歳以上の厚生年金受給者を対象に、原則として被保険者として保険料負担を求めるとともに、年金支給を停止することとしている。

第21回社会保障審議会年金部会
2024年11月25日
資料2

令和6年度現在は賃金 + 老齢厚生年金> 50万円の方が該当となります。
今はお元気な60代も多く、65才を過ぎても働き続ける方もたくさんいます。現役世代と同じもしくはそれ以上に収入があるのであれば、年金支給はその分減らしますよという制度です。
具体的には賃金と老齢厚生年金の合計が50万円を超えたら、超えた分の半分は厚生年金の支給を減らされることになっています。

ところがこの制度があるおかげで本当はまだ働きたいけど年金を減らされるなら、と働き控えをする動機付けになっています。扶養内で働きたい主婦層と同じ考え方ですね。

これは労働者人口を確保したい日本にとっては損失となっているので高齢になっても働ける人の意欲を削がないように改正しましょうということになりました。

改正案は3つ示されています。
案1 在職老齢年金制度の撤廃
案2 支給停止の基準額を71万円に引上げ
案3 支給停止の基準額を62万円に引上げ

上に行けば行くほど国家の年金給付負担額は上がります。
頑張って働くと年金が一部もらえなくなるのはおかしい!という側面からは案1のように撤廃すべきです。
高収入の高齢者を優遇するのはおかしい!という側面からは案3や現状維持の方が平等かもしれません。また、国家の年金給付額も少なくて済みます。

制度改正によって働き控えが解消されるかどうかも不透明な中、一概にどれがベストとは言えません。
またこの制度は会社員として給与をもらう方だけに適用され事業収入や家賃収入などの場合は適用外となっていることから、働き方の多様化とそぐわなくなってきているのではないかという指摘もあります。

方向性としては徐々に縮小、将来的に廃止となる見込みです。
新しい情報があればまた触れたいと思います。


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