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パッケージが好みの映画は大体合わない

わたしは映像がきれいな映画はすきだけど、それだけでは見ていられない。心を揺さぶられるような映画が好き。わたしのことをよく知る友だちに苦手な映画をドンピシャで当てられて気が付いた。

『永遠に僕のもの』を観た。どうしても感想が出てこなかった。不快だった。主人公の心情を想像することができても、なんとも思えない。その話をしたら、「多分きみは人間味のある映画がすきなんだと思う。心情とかがあんまり描かれてない映画やただただ単調に流れていく映画は苦手なんじゃない?」と言われてハッとなった。“殺したいからただ殺す”は、現実でもあり得ない話ではないと思うけどそこにストーリー性を感じない。
その背景に原因になる環境やいろんな感情があって葛藤があって悩みがあるから、おもしろいと思える。こういう多分ある意味本当のサイコパスを、なに考えてるかわからない頭のおかしい人を、狂気を、わたしは怖いとすら思えなくて。主人公がきれいだろうと美しいとも思わない。むしろそのきれいさ故にイラつきさえした。

だからこの映画を絶賛してる人に話を聞きたいと思ってインスタのストーリーに書いたらメッセージが来た。

私は、主人公の盗むことへの執着、異常性を軸にした映像の写しかたや物語のすすめかた、キャラクターの演技に魅力を感じました。また、異常な犯罪者というのは家庭環境が歪んでいたり、色んな理由、があると思うんですが、本当に異常な彼のような人には家庭環境など関係なく、本能的に盗むことに異常な執着心をもっていて、それにのみ進んでる人を誰も救うことはできないんだなと考えさせられました。

と。理解はできた。それでもやっぱり、この映画は合わないなと思った。だけど自分と正反対のことを感じた人に話を聞けてすごく楽しくて嬉しくなった。映画はそういうことを話せるきっかけを作ってくれたりするね。

最近わたしは映画をおもしろいと表現することにすこし違和感がある。おもしろいかどうかで言えば大体ふつうだし。すごく考えさせられるとか、ある時代について興味を持ったとか、すごく嫌な感情になったとか、ハッピーになったとか、奥が深いとか、そういうのがあるだけ。泣けるからおもしろいわけじゃない。良いとか、好きとか、そういうのでいい。超主観でいいものなんだよ。
わたしは映画の感想とか、伝えるのがすごく苦手なんだけど、それは的外れなことを言ってるのかもとか全然色んな部分を見落としていて本質を見抜けてないかもしれないとか不安になるからなんだ。わたしの解釈は合ってるかとか。自信がない。でも、そういうのって自分で好きなように解釈していいし、色んな受け取り方があるからおもしろいんだよね。映画とかみるとわたしはすぐに他人のレビューをみる。だってわたしがこれはすきだなあと思った映画をこてんぱんにディスる人もいるから。全く別方向からの考察もおもしろい。わたしにとってすきじゃない作品ほど考察やレビューは読み漁る。どこかにわたしが見落としてる魅力がないかと探す。
そういうのを楽しめばいいだけで、合ってるも間違ってるもない。

映画はだいたいパッケージがかわいいものは、映像がきれいだけど中身が好みじゃないことが多い。映像がきれいなのはすきなのに、いまいちピンとこないのがいやだった。なんというか、そういうのをおもしろいとか良いとか思えるのに憧れた。なんかかっこいいじゃん。芸術肌みたいなかんじで。でもやっぱりピンとこないから、すぐ忘れてしまうのよ。

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映画といえば、付き合う前にすきな人と初めてデートに行ったのが映画だったな。めちゃくちゃドキドキしながら待ち合わせをした。会ってからは、歩くスピードを全然合わせてくれなくて、きらいなのかなとか思ったりして。その日は映画を予約しててくれていたんだけど、上映時間までスタバでお茶してるときも、全然目を合わせてくれなくて。緊張するとか言ってたけど、そんな風にみえなかったから普通にコミュ障なのかとかぐるぐる考えていた。映画館に入って席に行くと、まさかのカップル席で、うわ〜これが常套手段か〜やっぱチャラいな〜とか思ってた。だけどそのとき既にわたしはすきだったから、内心キャッキャしてた。初めてあの席に座って、映画を観たんだけどとても良かった。座るときにあんまりぴったりくっつくのもあれだなと思って、ソファの端と端に座って、間に微妙な空間ができていた。途中、なんかいもくっつきたくてうずうずしてたんだけど、わたしから行くのはプライドが許せなくてなんにもしなかった。そんな中、中盤くらいから向こうが近づいてきた。そこからわたしは吹っ切れたようにくっついた。ダムが決壊したみたいに。一発目のアクションを起こされたらわたしはもう歯止めがきかない。ずっと手を触ってた。脚をすきな人の太ももに乗せていた。触れてることがうれしくて。すると、すきな人はいきなりわたしにキスをしてきた。わたしが誘ったのかも。多分わたしはいつものやつをやっちゃったんだね。ちょっとうれしくてでも映画に集中したいから、すきな人の顔をつかんで前を向かせた。それを何回か繰り返したあと、わたしはもらったあめ玉をなめようとしたんだけど、口に合わなくて。そのときはじめてわたしは自分からすきな人にキスした。あめ玉を渡すために。そのとき「こいつわたしのことすきだなと確信した」と、あとで聞いて少しむかついた。そんな映画エピソード。

映画っていいよね。

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