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シリーズ クラシック業界の色々 〜今、そしてこれから〜 音楽大学編①

皆様、いつもありがとうございます。
以前から各所で予告しておりました、音楽大学や音楽コンクールのあれこれについてお話・解説する企画を、本日よりスタートします。

私の出身校や出場してきたコンクールを例に挙げながらお話しますが、
これから音楽の道を志す多くの方の参考になるよう、配慮していますので、ぜひお楽しみ下さいませ。

シリーズ最初は、音楽大学の色々について、5回に分けてお話したいと思います。
第1回の今回は、「大学学部の専攻実技の課題や試験」に焦点を当ててお話します。

まず、私の出ている学校は、
「東京音楽大学ピアノ演奏家コース」
「東京音楽大学大学院修士課程ピアノ研究領域」
(大学院については後日書きます)

東京音楽大学は、日本の音大を総合してもトップ3に数えられ、全国から音楽を志す者が集います。
その東京音楽大学の学部のピアノ専攻は、
成績順に下記の通り2つのコースに分かれます。
「ピアノ演奏家コース」
「ピアノ科」

この2つを合わせると150〜190人くらい。
そのうち、私が在籍・卒業したのは、
「ピアノ演奏家コース」です。

・東京音楽大学ピアノ演奏家コースについて

ピアノ演奏家コース・ピアノ科併せて150〜190人くらいのうち、
在籍できるのは上位30人前後です。

その在籍者は、国内外のコンクールの優勝・上位入賞者が多数。すぐ目の前に強力なライバルが沢山いるので、大変刺激的なものです。

なお、ピアノ演奏家コースの中でもすでに国際レベルで音楽活動をしている人は、「ピアノ演奏家コース・エクセレンス」に在籍しますが、こちらは学年に1人いるかいないか程度。
基本的にはピアノ演奏家コースとして活動するので、軸となるのは上記2つのコースとお考えいただければ大丈夫です。

これらのことから、東京音楽大学のピアノ演奏家コースは、日本の音大のピアノ専攻の中でも最高峰に入ることになります。
なので当然ですが、一定水準以上の素質・演奏力があることが大前提となるのです。
演奏家として活動できる人材の育成をするコースなので、いわばピアニスト養成コースと言ってもよいでしょう。

・入学後の実技試験も大変です

ピアニスト養成コースと言っても過言ではないピアノ演奏家コースは、入学後の実技試験も大変です。

どんな試験なのかというと、
試験は大学のホールで行われ、1人20〜30分のプログラムを演奏します。
難曲・大曲を20〜30分弾くわけですから、体力と集中力の勝負。
その試験で、規定の点数を毎年クリアできないといけないのです。
クリアできないと、次年度演奏家コースから落とされてしまうのです。

これはスポーツに例えるなら、
野球だと一軍から二軍に降格、サッカーだとJ1からJ2に降格してしまうようなもの。

つまり、試験の結果次第では、卒業後の学歴・肩書きが変わってしまうのです。
それはもう皆さんプレッシャーの中での演奏。
私も、正直どんな本番よりも緊張しました。笑

なお、東京音楽大学の付属高等学校も同じようなシステムとなっています。
実技試験は、高校が年2回、大学は年1回。

高校2回の試験の総合成績で翌年度の在籍が決まるのに対し、
大学は1回だけの試験で決まるといった感じです。

試験の課題曲は、
私の代の大学の試験課題は、基本的に自由曲20分以上。2〜3年はコンチェルトが選択可能(3年では共通課題曲が1曲)、4年は20〜30分のソロのプログラム。

ちなみに高校は、3年間共通でバッハ平均律・ショパンやドビュッシーなどのエチュードは必須で、
あとは学年によって古典派ソナタ、コンチェルトやソロによる20分以上のプログラムでした。
(3年次はソロオンリーで20分以上)

・学校の課題や試験の一方で、コンクールにも出場

日頃の課題や、厳しい試験が毎年ある上、
キャリア作りのためにコンクールにも出る
わけですから、
学生生活の全てをピアノに捧げる覚悟が必要です。
まさに究極の修行の場ですし、全てを乗り越えた時は、一回りも二回りも成長している時ではないでしょうか。

もちろん、つきたい先生により大学を選ぶ選択肢はありますが、
やはり演奏家を志すのであれば、どの大学に進む場合も共通して言えることは、
揺るがない覚悟を持ち、どんな状況になっても自分のパフォーマンスを行い、自分を発信し、乗り切る気力がなければいけません。
そうでなければ、卒業後音楽家として生きることはできないと思います。
こちらの方が数倍大変なので。

次回は、大学学部の授業(専攻実技以外)についてお話します。

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