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退職直後の景色
2022.7.4(月)
数々のトンネルを越え、夕陽が差してきてきた。
それでもなお、森の中を走るバス。
窓の外の木漏れ日を眺めながら、物思いに耽っていた。
退職して、1週間が経った。
今、何者でもないわたしは、何を感じているのだろう。
それに耳を澄ませたくて、目の前にある森を見つめる。
優しかった。淡かった。煌めいていた。
繊細で、うっとりするほどに、美しかった。
何にも属さない、やわらかな自分。
すなおで、眩しい。
こんなにも、愛される存在だったのだと、気づく。
何にも染まっていないわたしが、一番好きだ。
正確には、透明なわたし色に染まっているわたしが、一番好き。
なんにもないって、穏やかだ。ゆるやかで、心地いい。死に近づいているような感覚でもある。
だけれど、鼓動は響いている。生きていると、身体が、心が、証明している。
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