いまいけぷろじぇくとvol.10に向けて②

市原佐都子さんの「バッコスの信女」があいちトリエンナーレ2019で上演されていた時、私はちょうど出産後で名古屋の旧市民病院に入院中でした。そういえば台風も来ていて、公演期間の1日ほどが中止になっていたっけ。赤ちゃんを新生児室に預け用事を済ませながら、病院の大きめの窓から大荒れの外を看護師さんと見ながら「うわー」なんて言って、看護師さんからは「うちは災害時避難所にもなるからよっぽど大丈夫」との情報があり、こういう日に陣痛が来て病院に移動せねばならない、みたいな状況にならなくてよかった、守られているなぁとか思った記憶があります。そんなことを思い出しながら、この戯曲が出版されていることをいつだったか忘れたがネット上で知り、購入しました。その後書きに、「演劇は演劇、生活は生活。それでいいのか。」というフレーズがあり、えっ、と声が出ました。だってそれがいいと思っていたし。
そうか、そういう疑問がむしろありえるのか…と思ったのがスタート、そこから作品を生活の中で作るなかで、「作品と生活とがシームレスにつながっている」ということを肯定的にとらえ、意識する、という姿勢に移っていきました。池田萠さんであり、一方戸籍名で仕事をしているのでその苗字の人であったり、女性で日本人で30代半ばで少し特性があって(診断があるわけではない)音大を出てメディアアートの大学院も出て、先生をやったり障害福祉で仕事をしたりそれにメゲて今は事務員さんをしていて子どもは3歳と1歳で育児は苦手な人で日本という社会にたまたま生きていてその社会はマジで無茶苦茶だと思っていますなどなど…という生活(社会や政治を含む)と作品とが全く別個にできない、と。

次回に続きます。

公演情報

いまいけぷろじぇくと vol.10 《全景》
ゲスト:宇多村仁美(ソプラノ)、林美春(打楽器)
アフタートークゲスト:金子智太郎

”ほぼ“池田個展!前回の第9回と今回の第10回はこれまでと趣向を変え、今村・池田個人に焦点を当てた企画である。2012年〜現在に至るまでのパフォーマンスソロ、器楽・声楽ソロ、デュオ、トリオの池田作品と今村作品を取り上げる。
作曲家、 そしてパフォーマーとしての、池田の思考の軌跡を見渡すことが出来る。
《全景》が、そこにある。
また、アフタートークゲストには美学研究家の金子智太郎を迎える。
演奏ゲストには、名古屋を中心に活動するソプラノの宇多村仁美、打楽器の林美春が参加。
「いまいけぷろじぇくと」は、 劇作家やダンサー/振付家に音楽作品を委嘱したり、俳優/ダンサーを演奏家としてゲストに招いたり、批評家を招いたアフタートークの開催など往来の「演奏会」という枠組みにとらわれない活動を続けている。
【このコンサートはサントリー芸術財団佐治敬三賞推薦コンサートです。】

※このコンサートは2020年6月開催予定であった公演の延期公演です。

【プログラム】
池田萠/日本語による歌曲のためのランダマイズド・スタディ
(soprano)(2023/初演)
池田萠/35歳までにMステに出たい(performer)(2020)
池田萠/選択音楽 No.03 または どんつきのきつつき(4 performers)(2019)
池田萠/おす、ふく、たたく、うたう(percussion, performer)(2017)
池田萠/小太鼓のためのオーケストラ(ざわざわ)レパートリー
(2023/初演)(percussion)
池田萠/楽音と楽音との狭間に関する考察 No.02(soprano, performer)(2012)
今村俊博/描く人Ⅱ(4 performers)(2023/初演)

2023年10月15日(日)13:00開演(12:30開場)
会場:KDハポン(名古屋市中区/JR鶴舞駅北口より徒歩約3分)
https://kdjapon.jimdofree.com/アクセス/
料金:
一般 予約:3000円+ドリンク代/当日:4000円+ドリンク代
U25 予約:1500円+ドリンク代/当日:2500円+ドリンク代
ご予約:フォーム 

https://t.co/ENNSc8hXkf

主催・お問合せ:いまいけぷろじぇくと事務局
 imaikeproject(at)gmail.com (at)を@に替えて送信

ゲストプロフィール
宇多村仁美 Hitomi Utamura/ソプラノ、パフォーマンス
愛知県立芸術大学博士前期課程修了。
世界的テノール歌手ジュゼッペ・サバティーニ氏に招待され、イタリア、ローマにて研鑽を積む。第47回イタリア声楽コンコルソ ロイヤルティガー部門金賞受賞、第4回タイ・チェンマイ ヒナステラ国際コンクール奨励賞受賞、第4回マルゲリータ・グリエルミ声楽コンクール第三位。日本、イタリア各国で演奏会やオペラに出演する傍ら、近年ではアジアの国々にも活動の幅を広げている。田中敏夫、新実真琴、森川栄子、 三輪陽子、井上美智子、レベッカ・ベルク、ジュゼッペ・サッバティーニ、セルジョ・オリーバ、クレシー・ ケリー各氏に師事。
演奏活動の他、後進の育成にも力を入れており、宝塚音楽学校、劇団四季、東宝ミュージカル等に生徒を輩出している。

林美春 Miharu Hayashi/打楽器、パフォーマンス
名古屋市出身、2009年愛知県立芸術大学卒業。卒業演奏会出演。中部打楽器協会新人演奏会第1位。第17回万里の長城杯国際音楽コンクール打楽器部門第3位。[表現する]をテーマに、現代音楽を積極的に取り入れたプログラムで行われる子ども向け打楽器ワークショップや、親子で楽しむレクチャーコンサートは好評を得ており、その唯一無二の活動に注目を集める打楽器奏者である。
名古屋市立大学大学院 人間文化研究科(修士)を経て、現在名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 博士後期課程研究科 在学中。教育哲学者であるジョン・デューイの思想を中心に、乳幼児期の音楽経験について研究している。至学館大学こども健康・教育学科非常勤講師。

アフタートーク・ゲスト
金子智太郎 Tomotaro Kaneko
美学研究者。聴覚文化論。愛知県立芸術大学准教授。「日本美術サウンドアーカイヴ」主宰。主な論文に「1970年代の日本美術における音」『あいだ』(2022年)、“Arrangements of sounds from daily life: Amateur sound-recording contests and audio culture in Japan in the 1960s and 1970s,” in Asian Sound Cultures: Voice, Noice, Sound, Technology (Routledge, 2022) 他。


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