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雑記20230416
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最近は神保町に足繁く通っているのだが、あまり古書店に寄る時間がない。
それでも先日は少しだけ時間を捻り出して、数軒ワゴンだけ漁り、そのうち一軒では五冊ほど拾うことができた。
会計を済まそうと店内に入ると、数人の男性が中国語で何やら言いあっている。どうやら、目当ての本を買いたいが、キャッシュの手持ちがない、ということらしい。
結局、どこかで現金をつくってまた来るということで、付き添っていたガイドが話をまとめて彼らは出ていった。
店主夫妻は終始穏やかであったが、中国人客の十分の一ほどの商いにしかならない僕に向かって、「中国人のお客さんは、高いものを買ってはくれるけど、どうもうるさくてねえ……」と語りながら、奥さんとともに丁寧にカバーをかけてくれた。
実はかつて神保町では中国人客が激しく値切るため、岩波書店(最初は古書店だった)が正価販売をはじめたという経緯があるのだが、いまは中国人客が値切ることはなさそうだ。
*
眠剤はちゃんと効いている。
だからこそのことなのだが、朝方に尿意を感じて目が覚めても、起き上がって用を足すまではいかない。かといって漏らすわけではない。
最終的にはまた寝てしまうのだが、もぞもぞしていると猫も目が覚めてしまうらしい。
まだ朝方は少し冷えるから、にゃぁおと控えめに鳴いて、掛け布団のはじを引っかく。
僕はそうかそうかと布団をめくり、猫は布団に入って僕にくっつく。
そのまま二度寝をする、というような日々が続いている。
じきに布団を敷いている部屋は暑くなって、猫と同衾することもなくなるだろう。
*
冒頭で書いた書店で買ったなかに、文庫クセジュが一冊あった。
平凡社東洋文庫と並んで判型がA6サイズでないことをよくネタにされるが、これはほかの文庫がA6サイズになっていったのであって、順番が違う。
ともあれ、件のクセジュをめくっていると、昭和40(1965)年の「白水」と、同年9月13日付の東大生協のレシートが出てきた。
9月は夏休みだろうから、このレシートの主はきっと向学心ある若者だったのだろう。
試みに計算してみると、いま現在、もっとも若くとも77歳になっていると出た。
実際にはもう少し年嵩で、すでに世を去っている可能性が高いだろう。
レシートの主はどういう人生を送ったのだろう。きちんと東大を出て、学生時代に買った本を持ち続けられる程度には経済的にも余裕があっただろうか。
僕は定期的に本を放出しないと、経済的にスペースが確保できない。なんとも恨めしい限りであり、早く手取り100万円……とは言わないがその三分の一くらいは取れるようになりたいものである。
(これより下に文章はありません)
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