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悪気があるかどうかなんて、関係なかった

昔から誰かの言動に傷ついたときはいつも、相手側の弁護士が早々に現れた。

「こういう意図があったはず」
「傷つけようと思ってしたんじゃない」
「悪気はなかった」

全部頭の中の声なんだけど、私の "悲しい" という感情を認めるよりも先に、その弁護士は雄弁に相手を擁護してくる。

もはや「傷つくあなたが悪いんですよ」とでも言わんばかりに。

数年前、「というか私側に弁護人がいないのはおかしくない?」とふと思うようになった。「相手を擁護するより、まずは自分に生まれた感情を見てみない?」とも。

頭の中でトレーニングを続けるうち、「確かに私は傷ついていたんだ」と思えるようにはなったけど、それでも毎回気になるのだ。

相手がどういうつもりなのか。

「どうしてそんな発言をしたのか?」
「傷つけるとわかってやったのか?」
「悪気はあったのか」

そうして悪気はないとわかると、余計に苦しくなったりした。相手は傷つけた実感もない。私が何日も何ヶ月も苦しめられている中、平然と話しかけてきたりする。

悪気はない、でも私は傷ついた。
その温度差は、どうやって埋めればいい?

けっこう長年悩んできたはずなのに、先週急に開き直る瞬間が現れた。

「え、悪気があるかどうかなんて関係なくない?」

相手にとって何気ない言動でも、私にとってはあり得ない嫌なものである可能性は大いにある。

たとえば、私も行くはずの予定の日程が一言の相談もなく変更されたら、"仲間はずれ" な感じがする。たとえ相手に「仲間はずれにしよう」という気持ちがなくても。

そのモヤモヤを解消する方法の一つはおそらく、悪気がないからと我慢することではなく、「私にとってその行動は傷つくものなんだよ」と伝えること

それで変わってくれる人ばかりじゃないだろうけど、嫌なものは嫌だと伝えないときっとなくならない。

嫌いな食べ物だと伝えなかったせいで、毎年良かれと思って嫌いな食べ物をプレゼントされる……みたいなことだって起きてしまう。

正直に伝えてみたら、自分には見えていなかった事実が見えて、苦しみが軽くなることだってあるかもしれない。

大変だけど、そうやって一つ一つ開示していくことが、私をいつか生きやすくしてくれるのかな?

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