【カサンドラ】 40. 古傷
もう、何も考えたくなくて、自宅のベッドに横たわっていたが
何もしないと同じことばかりを考えてしまうので、化粧をして外に出ることにした。
行く宛てもなく、駅まで歩いて
ATMでお金を降ろし、電車に乗った。
車窓から見える夕焼けがあまりにも綺麗だったので、二子玉川駅で電車を降りた。
つい数分前まで空を染めていたピンク色は早くも紫に変わってきていて
駅を出て歩きだした頃には、紺色の闇に包まれ始めていた。
横断歩道を渡って、少々久しぶりに重い扉を押すと、
智くんが入口を覗き込むよう