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うつは健常者の経済的負担を増やす

うつでない人は、うつ病を他人事と思っていることでしょう。

中にはコロナ禍のさまざまなストレスに押しつぶされ、うつになってしまった人もいるでしょう。

精神疾患


いつも落ち込んだ気分をうつ病だけでなく、
いい状態と落ち込んだ状態を行ったり来たりする双極性うつというものもあります。
こちらはいい状態があるので、うつと分かりにくいのが難しいところです。

精神疾患は、発見が早ければ早いほど立ち直りやすい病気です。

ただし、一度精神疾患になると一生付き合っていくことになります。

今、精神を病んでない人は精神疾患にならないよう、ストレスを上手に発散させてください。

特に「自分はうつになんかならない」と思っている人でも、いつの間にかうつになることがあります。
自分に対する過信は危険です。
今、患っている方の中には「自分には関係のない病気だと思っていた」という方はとても多いです。

うつの現状


以前、別の記事でご紹介したように、2020年の時点で、6人に1人はうつかその予備軍です。

だから、今は大丈夫でもうつという病気を知り、少しでも心当たりがあれば早めに手当てしてください。

健常者の金銭負担?

さて、健常者のあなたにも関係があるお金の話です。

生命保険

民間の保険会社で精神疾患による、入院、通院の保険金請求をする人が増えているそうです。

ある保険会社に直接問い合わせたところ、その生命保険会社のデータ収集ご担当者と電話でお話しすることができましたが、
「業界全体として給付の原因については、一部の疾患で調査と公表の準備を進めている」そうで、「精神疾患についてはまだ手付かずの状態」とのこと。相関関係の情報は掴めませんでした。
ただし、「今後それはしなければならない課題である」とおっしゃっており、近い将来、個人に支払われている保険金のうち、精神疾患の占める割合か明らかにされるでしょう。

ただ、面談したことのある保険募集人(いわゆる保険商品の説明をして、勧誘するのをお仕事にしている人)の肌感覚では、精神疾患による保険金請求が「ご請求される契約者のうち、全体の40%ぐらい」に高くなってきているとのことです。

そこで、質問です。

「保険会社が支払い保険金とその因果関係を調べるのはなぜでしょう?」

それは払ってもらっている保険料と支払っている保険金のバランスがとれているか?を確認するためです。
赤字なら保険料を上げる要因となります。

正確には、
保険料は各保険会社がそれぞれ勝手に上げるのではなく、保険料料率機構に所属している42の生命保険会社のデータが集積され、保険料の見直しがなされます。
この料率機構が各社の基準となる保険料率を上げても、各社がすぐに追随するとは限りません。
口火を切って、保険料をあげてしまうと契約者が他社に取られてしまうからです。
ただ、最近の自動車保険などの流れをみていると、どこかの保険会社が上げれば、他もそれに続くということはよくあることです。


したがって、それが現実となり、
精神疾患による保険金支払いが増えれば、
健常者が支払う保険料も負担が増えることになります。

健康保険

残念なことにうつ病になってしまった場合、
その人は病院に通院することになります。

もちろん、それはあなたには関係がないことです。

しかし、日本の保険制度は世界でも数少ない、なおかつ秀逸な皆保険制度です。
通常、患者は診察や投薬にかかる費用のうち3割を負担すれば、受診できます。

したがって、
うつ病の人が増え、残りの7割の税金からの支出が増えると医療制度が逼迫することになります。
結果、国の赤字が増えます。

国がこれに対してどう手を打つのかは、わかりません。
・税収を上げる
・国債を発行する(国の借金地獄の加速)
・保険料を上げる
といったことが、考えられるでしょう。

「うつ病なんて対岸の火事」と思っていても、自分がうつ病になるリスクもさることながら、運良くうつを避けて通れても、あなたの支払う保険料が上がる未来が予想されます。

あなたの固定費である社会保険料が上がらないよう、ストレスを抱えている人に手を差し伸べてください。

経営者のみなさまへ

精神疾患による休職者が出た場合、どのように対応されていますか?

①人員はそのままで、現場で回させる
②代替要員を採用して、人員を確保する
このいずれかの方法になるかと思います。

①の場合、残された社員への負担が増え、残業という人件費が増えます。

人件費より恐ろしいのは、多忙になったことによるストレスにより、生産性や効率性、モチベーションが削がれることです。

また、これらによるストレス・過労で次の精神疾患者が生まれる土壌ができてしまいます。

さらに患者である社員がやめてしまっては、これまでの教育(平均して課長になるまでの10年)は泡と化します。

②の場合、本人に対する15%の社会保険料負担は維持しつつ、高額な派遣社員などを雇わなければなりません。
パートであれば、廉価で抑えることができますが、いずれにしても休んでしまった本人と同じ職務レベルを求めることは困難でしょう。

では、正社員を雇う場合はどうでしょうか?
平均的な生涯賃金は2億円です。

あなたはこれから2億円のお買い物をしなくてはならなくなります。

休んでいる社員の代わりとして、確実に業務を潤滑に回せる人材を見つけるのは、とても労力がかかります。

経営者は、仕事をする人を指しません。
指示を出し、それがうまく回っているかを人を使って管理し、新しい経営資源を発掘することです。

果たして、人に任せた管理は行き届いているでしょうか?
今一度、精神疾患を生み出さない職場環境構築に力を入れてみてください。
精神疾患者による損失より、安い金額でなし得るはずです。

ただ、それにはあなたご自身がストレスや精神疾患に対しての正しい知識と明晰な頭脳が必要となります。

まとめ


健常者の今のあなたにできることは、ただ一つ。
正しくうつ病を知り、本格的にうつになる前に手助けをすることです。

「甘えてる」
「気合いが足りない」
「たるんでる」
「やる気がない」

うつはそんな問題ではないのです。
うつを正しく知れば、上記の発言は精神疾患と無関係であること、そんな発言はよけい状況を悪くすることがお分かりいただけるかと思います。

うつを未然に防ぐためにお力を貸してください。

対岸の火事は対岸の火事ではない。

そのことに気づいていただき、
精神疾患を出さない、防いでほしいのです。

ストレスが少ない社会を目指すことは、
患者個人の問題ではなく、
そうでない人にも影響があることであり、
社会的な問題であると認識してくだされば
幸いです。

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