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AIベンチャーの役員補佐から、予防医療テック企業の取締役COO/CSOに就任した話

こんにちは。予防医療テックのリンケージの夏目です。

この度2021年12月より、取締役COO/CSO(Chief Strategy Officer)に就任させていただきました。

年末の良い機会なので、どうして私がリンケージに出会ったか、なぜ取締役として参画させたいただくことになったのか、まとめてみようと思います。

セオリーのないAIベンチャーでもがいていた日々


一橋大学を卒業後、新卒でリクルートに入社した私は、経理や人事を経験する中でAIエンジニアの採用を担当しました。トップレベルのエンジニアに数多く出会う中でAI業界に興味を持つようになり、2016年、当時数少ないAIスタートアップのABEJAに役員補佐として転職しました。

ABEJAでの日々は今となっては財産だと言いきれますが、転職した当時は挫折の連続でした。というのも、事業経験も留学経験もない私が、上司である役員と2人で海外進出を任されたのです。

何もかもが初めての経験であることに加え、AIは新しい産業なので事業づくりのセオリーが存在せず、さらに周りにいるのはインターナショナルな同僚たち。
「これは自分の仕事ではない」とはっきり言う同僚に英語で言い返せず、次から次にやったことのないタスクを引き受け、失敗を連発する日々。会社にも迷惑をかけ、精神的にも辛い状況でした。

ですが、同僚たちの言動はプロとしてコミットする部分で結果を出すという姿勢の現れであり、本質的だとは気づいてました。彼らに適応しようともがいているうちに、決めた仕事で結果を出す力、自分の主張を明確にする力が自然と養われたように思います。

おかげで徐々に成果がでるようになり、東南アジアではバックオフィス全般、役員補佐、マーケティングや事業開発を担当し、結果黒字化して10名程度の支社に成長。日本でも、42億円のシリーズCファイナンスを担当したり、マーケティング責任者として従事しました。また日本に3,800名程度しか資格を有していない、日本ディープラーニング協会のE資格(AIエンジニアの資格)を取得する事もできました。

改めて、結果が出ない自身を見捨てず、ここまでの挑戦をさせてくれたABEJAには感謝しかありません。


挑戦する人が心身ともに健康でいられる社会をつくりたい


前置きが長くなりましたが、そんな私がリンケージに参画した理由は、ビジネスを通じて「挑戦をする人が心身ともに健康でいられる手助けができないか」と考えたからです。

自分自身が挑戦をする過程で精神的に追い込まれた経験はもちろん、そのような人が身近な周囲に増えたことがきっかけです。

経営責任へのプレッシャー、信頼していた人からの裏切り、膨大で先の見えない仕事量、見知らぬ人からの目を疑う誹謗中傷、未来への失望…。

挑戦心を持って、世の中に価値を届けようとする人の多くが、挑戦の中で幾度となり立ちはだかるハードルに精神を蝕まれていく現実を目の当たりにしました。

また彼らに対して何をしたら良いのか、良くないのかがわかりませんでした。逆効果になるのも怖くて、ただ明るい話題を振ることしかできない自分がいました。大切な人が苦しんでいても、何もできない自分がとても歯痒く情けなかったです。

挑戦する人が何度でも挑戦できる社会にしたい。

精神的に辛い人に、身近にいる人間ができることはないか。何もせず後悔はしないか。

そうした思いが強まり、メンタルヘルス領域でできることはないかと考えるようになりました。


ご縁があって2年前に事業支援で行ったアフリカでの出来事も、転機になっています。

というのも、以前の私は、アフリカに住む人々に人生の選択肢を増やすといった価値提供ができたら、と考えていました。環境が整っていないことで、彼らの可能性が狭くなるのはもったいないと思っていたんです。

ですが、実際に現地の仲間と一緒に事業をして気付いたことがありました。それは、私が出会ったアフリカの人たちはとてもポジティブで、これからの未来にワクワクしているという事実でした。経済的には贅沢な暮らしはできなくても、日々を楽しんで生きている方ばかりだったのです。

物質的な豊かさではなく心の豊かさ、ウェルビーイングの重要性を肌で感じました。ひとりの日本人として、アフリカへの目先の経済支援ではなく、課題先進国である日本でウェルビーイングの問題に取り組むことが自分のライフテーマだと感じるようになりました。

現地でエンジニアのイベントに参加した時の一コマ


リンケージの予防医療テックカンパニーとしての魅力


そんなこんなでメンタルヘルス領域に飛び込むことを決め、事業の方向性を模索している中、リンケージと出会いました。事業と組織の両方の強さを感じて、今回経営参画させていただくことになりました。

まずは、リンケージの事業の素晴らしさ。

リンケージはその名前の意味通り、「テクノロジーと”つながり”で健康意識の温度をあげる」というミッションを掲げています。
コミュニティにおける人と人との「つながり」がもたらす力で、健康意識の温度を高めていくという思想です。

その思想を体現すべく、リンケージでは、企業や健康保険組合を通じて、働く人に疾患を知るきっかけと共にオンラインで予防医療を提供するというアプローチをとっています。

労働生産性の向上を目指す企業や、医療費削減を目指す健康保健組合の皆様から対価をいただき、彼らのコミュニティのつながりを通じて適切な働きかけを行い、働く人の心身の健康をサポートしているのです。

リンケージのサービス一覧

メンタルヘルスにおける自身の経験を振り返っても、周囲に声をかけたいという気持ちがきっかけであったというのは前述の通りですが、自分が精神的に追い込まれている時には自分では気づかず、周囲に声をかけてもらって休んだ経験もあります。

また、婦人科を例にとっても、女性の生産性に影響を及ぼす疾病の多くは女性ホルモン由来の疾患で、大半が早期に気づくと改善できる疾患です。
しかし、女性自身ですらその事実を知っている方が少なく、痛みは当たり前と思っている方も多いのが現状です。私自身、リンケージに入社して初めて自分に子宮内膜症があることに気づきました。

このように、自分では適応できてしまったり、それが当然と我慢してしまえたりするものでも、実は疾病の予兆だったりすることも多いのです。

自分自身では気づかない体の状態に対して、いかに他者から”気づき”を与え、予防を促せるか。このプロセスに徹底的に向き合っているリンケージは、予防医療の領域において唯一の価値を提供できるプレイヤーになると自負しています。

多様なプロフェッショナルが集う組織


リンケージに参画した2つめの理由が、人・組織の魅力です。
リンケージは社員・業務委託等合わせて60名強の組織になるのですが、多様性のあるメンバーが集まっています。

医師や保健師、管理栄養士といった専門家の方々。
看護師からCSリーダー、薬剤師からエンジニア、看護師からデザイナーといった転身を遂げた方々。
リクルートやサイバーエージェント、ゲーム業界などから医療業界に飛び込んできた方々。
フェムテックに携わりたい一心で、問い合わせフォームから連絡してきてくれて入社した新卒生。

多様性に富んでいる一方で、共通して、
より多くの人々が、心身を健康に自分らしく生きられる社会にしたい」という思いがあります。
それぞれがリンケージのミッションに対する熱量を持ち、プロフェッショナルとして集い、一緒に事を成しています。

言葉にすると当たり前のように見えるかもしれませんが、自分の熱量がすんなり受け入れられる組織が心地よく感じますし、そんな熱量を持った方をこれからも歓迎したいと思っています。

リンケージの経営・マネージャー陣と


取締役としてとくに取り組むこと


最後に、これからリンケージの取締役として事業成長・組織成長にコミットしていく中で、特に意識して取り組みたいことを3つ挙げたいと思います。

1.企業の健康経営を促進できるパートナーに

企業価値向上や採用力強化のために、従業員の健康をケアする健康経営に取り組む企業は増えています。ですが、まだはっきりとした成果を出せておらず今後の方針に悩む企業も多いのが現状です。

経産省のデータによると、女性特有の月経随伴症状だけでも、年間労働損失額は約4,911億円に上ります。健康経営に取り組むことで、圧倒的な労働生産性の向上、離職率の低下や採用コストの減少、さらには事業成長につながるという成功事例を創出していけると考えています。

また、スタートアップ企業の多くでは、事業の存続と成長に集中する必要があり、勤続年数が比較的短いこともあり、従業員の健康ケアに関する優先度は下がりがちです。
ですが、スタートアップにおいても経営者や従業員のメンタルヘルスへのケアが必要です。また、従業員の離職率低下によるインパクトが多いのもスタートアップの特徴だと考えています。

これから、企業のパートナーとして、企業の実態に即した、本質的な健康経営の形を作っていきます。

2.予防医療へのデータ・AI活用

2点目は、これまで自身が取り組んできたデータ活用、AI活用を予防医療においても適用させ、予防医療市場をさらに拡大させていくことです。
これは難しいことではないと考えており、実際に医療業界におけるデータ活用は進んできています。デバイスの低価格化や発展が進み、誰もがヘルスモニタリングを簡単にできる時代になっています。

さらなるデータ・AI活用のボトルネックとなるのは、技術ではなく、ユーザーの健康意識だと私は考えています。
現状、日本において健康意識が高く、自らの健康データを蓄積しモニタリングをしている人はごく一部です。より多くの人が、小さい予防やケアから始めようと思える体験の提供が必要だと感じています。

健康意識が高い人だけでなく、高くない人にも予防医療を提供する。このテーマに徹底的に向き合っていきたいと考えています。

3.組織のダイバーシティの実現と、FEMCLEへの反映

リンケージの女性ヘルスケアサービスFEMCLEでは、女性活躍を阻む主な要因の一つに女性特有の健康課題があると考え、早期の発見と解決を目指しています。
今後は私自身が女性取締役として、リンケージの中で女性が活躍できる組織環境を作り、その過程で得た気づきをサービスに反映していこうと考えています。

現在、FEMCLEをリンケージ社内へ導入し、女性には健康課題に関する問診に回答してもらい、同時に男性・女性双方から率直な意見を収集しています。今後この結果をもとに、組織ポリシーを言語化し、制度や施策の設計に着手していく予定です。

事業成長とダイバーシティを同時に実現できる、そういった成功例をより多く世の中に創出していければ本望です。

リンケージメンバーの集合写真。女性も多数活躍しています。


終わりに


日本では保険制度が充実し、予防をしなくても医療へのアクセスが比較的楽ではあります。病気になったら治療すれば良い、と思う人も多いのが現状です。
ですが、重症化してからでは遅いことが多々あります。
心身の健康を保つこと、また保つ方法を知っていることで、より行動の選択肢は増え、挑戦をし続けられると考えています。

また、日本全体にとっても、健康で長く働ける人が増えることで、生産年齢人口の減少や医療費の伸びを防ぐこともできます。

より多くの方が自分の健康状態に手軽に気づき、まなび、医療に繋がることができる。そんな世界を実現すべく、力を尽くすつもりです。

最後になりましたが、リンケージは今、急速に成長していて贔屓目なしに面白いフェーズです。既存事業が成長し、新規事業も複数仕込んでいます。

健康経営、医療費削減、D&I、女性活躍推進、禁煙、生活習慣病、フェムテック、メンタルヘルス、医療×データ活用。
こんな言葉にピンと来る方、ぜひコラボレーションできると幸いです!採用も各職種募集しているので少しでも興味があればお気軽にご連絡ください。

共感いただける皆さんとの”つながり”を通じて、日本の健康意識の温度をあげていければと思っています。
2022年も、夏目およびリンケージを、よろしくお願いします。

Twitterもやっています。よければぜひこちらでも!


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