ばあちゃん VS 私 エブリデイ遮音大作戦

私のばあちゃんは、兎にも角にも声がでかい。
声の圧というか、声の塊みたいな。
もうなんと申すかハンマーみたいな打撃力を伴ったボイスをもっている。

現在、私はばあちゃんと共に生活をしている。
共に生活をしているのだが、洗濯物、料理は
各々が各々のタイミングで行い
時たま、
「おぉばあちゃんの肉じゃが美味そうだな くれよ」
ってな感じでご相伴に預かるなんてことをする。
一緒に住んでいるものの、己が他を縛ったり、強制しないので
所謂シェアハウスのような形態。

でもってあたくし、在宅勤務でございまして
家の中、つまりばあちゃんがいるハウスにて
キィボウドなど叩いたり、資料を読んだりしておるのである。

さて、仕事。キィボウドを鳴らしながら原稿など書いておりますとね
ばあちゃん宛によそのばあさまから電話がかかってくるのですわ。

「はい! あぁ〜ら!! うん。うん。 そう! そう!
ええ!? やっだもう!! アッハハハハ!! ホント!?
あなたっ! あなたっ! ねっ!? そう! そう! 
おほほほほほほおほほほほほほほほほほほホホホ
ホオホホホホホホホホホホホホ えええ!? アッハハ! ねっ! ねっ!
オホホホホホオホオホオホホホ!!!!!!


ってな感じ。
斯様なタイムが大体30~60分続くわけですね。
でもって、一日にばあちゃんにかかってくる電話ってのが6〜8本。

もう、煩そうて煩そうて堪らんのですわ。

あたくしは別室にて作業をしておるのですがね
壁、扉を揚々と突き破って
ばあちゃんボイスがクリーンヒットするんですわ。

ええ、もちろんね。耳栓をしておるのですよ。
しておるのですが、一言一句ばあちゃんの言の葉がわかるんですよ。

何故か?

ばあちゃんの声がでかいから。

シャラアアアアアップ!! とは流石に言えんのですわ。
ばあちゃん電話で楽しそうですしね。
家事も現役でこなすので、ちいともボケてはいないのですが
寄る年波には抗えず、足腰が痛むのか随分と外出が少なくなった。

お友達とのコニュニケーションツールに
電話ってやつは大変便利なんですね。

そもそも…
私、人が会話している様がとんでもなく気になるくそ神経質女で。
誰かが話しているのを無意識のうちにダンボ耳してしまうわけである。
会社勤めの際は、上司たちが先に話している内容が
我が仕事に振られそうだとキャッチすると、
指示されたらいつでも動けるようにとか
なんならやっちゃったりなんかして
「あ、必要かと思ってやってあります。これでよろし?」
なんて感じ、こいつ…デキる!! みたいなことを演じておった。
ずる賢くやっていたのだ。

しかしながら、在宅作業だと己が仕事管理をしている故
会社勤めの時のようなダンボ耳能力などゴミ同然なのだ。

そうして宝なのかなんなのかわからんが
持ち腐れてしまったダンボ耳は今や
ばあちゃんのダイナマイトボイスを受信する為だけのものに
成り下がってしまった。

ではどうするか。私はどうすれば良いか。
まず、家を出ようと思った。

いや、みなさん知ってます? 図書館って。

あそこね、私語厳禁なんですよ。
ね。し〜ずかなの。本をめくる紙擦れの音とか
椅子を引く音とか、鉛筆を走らせるような音しかないの。

天国だと思いましたよ。図書館の勉強スペースを発見した時。
もとより図書館は大好きでしたが、いやはや、仕事するのにうってつけ。

いやぁ〜捗った。実に。タイピング音がでかいので、
ちとそれはマクドナルドなどでやっておりましたけれども、
その他諸々の仕事なんてのは集中できて至高であった。

しかし、そんな幸せも長くは続かない…。

そう、コロナウイルスのせいで…。
コロナウイルスの拡大防止のために、我が愛する図書館が、
本を貸し借りする為だけの場になってしまったのだ。
勉強スペースを封じてしまったのだ。
貸りたら帰れ。返したら帰れ。

メソメソ帰宅すると

「あら!? そう! そう! SO U YO!!」

ばあちゃんの音圧。
私は恨む。コロナウイルスを。

そんな状況の中、仕事は待ってくれない。
近場に仕事をするだけの1ルームを借りようと本気で思ったが
引越しの手続きをする暇がない。
仕事は待ってくれないのだ。

ではいかにすれば良いか。
そう、最強の耳栓を買えば良いのだ。

「遮音性 最強」

と、いんたねっつで検索をすると
出てくる出てくる。
皆、音に悩んでらっしゃるだな。

レビューを見ると
「防音のためにと、むやみに音楽を聞かなくなりました」

とあり、大変よくわかりますと握手したくなった。

あたくし音楽は好きなのですが、仕事をするときは
無音が良いんです。これはどうしようもないんです。

早速買いました。
トーヨーセフティーの
キノコ型耳栓。
やい見てやがれビックバンボイス!

画像1

 TOYO 耳栓No.1915 キノコ型 (TOYO SAFETY)


耳栓の片一方をすぐになくしてしまう私。
これ、二つが紐で繋がっているであるから
その辺にぴょっと放っていても見失うことがない。

細くて、スタイリッシュだし、耳の穴が小さいわしにもハマる。
車の走行音やら、ばあちゃんが毎朝見ている
NHK連続テレビ小説ドラマのオープニング曲も聞こえない!

え!? スカーレットもう終わったの? もうあさイチやってんの!?
ぜぇ〜〜んぜん気づかなかった!


こりゃ、もしかするともしかするかも!!

ウキウキしながら耳栓を継続して仕事をこなした。
こなしていた。
こなせればよかったのに…。

「はい! あらっ! あらっぁ〜! ええ〜!? ホオホオホホホホホホホ」

だめだこりゃ。

私は宣言する。
本日より、対おばあちゃんのでかい声への
エブリデイ遮音作戦を実行する!!

そう憤りながらアマゾンで大量の種類の耳栓をポチった。

勝つぞ。必ず。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?