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【日記】ずっとバカにしてたTinderを入れた話

僕と僕の数少ない友達は、マッチングアプリ(長いので今後チンプリとする)を入れたことがないし、むしろバカしてきた。

「あれやってる男絶対面白くないだろ」
「あれでモテてる気になってる女子は絶対話合わん」
「チンプリとTikTokやってるやつは東大に行けってドラゴン桜で言ってた」

そうに決まってる。僕の経験がそう言っている。今まで僕が新しく誰かを好きになる時、そいつはチンプリをやっていなかった。男女関わらずだ。したがって帰納法より僕はチンプリをやっている人を好きになれない。証明終了。僕の勝ち。

でも、こんなバカみたいなことばっかり言ってもしょうがない。元カノに「2人とももっと大人になってからさ、その頃の今とは違う君を少しだけ、見てみたいな」と言われた時から、僕は新しいことを沢山試してみると心に決めたのだ。僕は新しい一歩を踏み出すのだ。元カノよ、僕は多分進む方向を間違えている。

「チンプリをやってみよう!」

やってみて、面白かったらそれはそれでいいことだし、面白くなかったら元通りになるだけだ。僕はプライドが高くてややこしい性格をしているので、こんな風に自分を説得しないと新しいことに踏み出せない。しばらく自分を説得したあと、1人で始めるのはやっぱり恥ずかしい気がしたので、深夜に友達と通話をしながら悪ノリの形で入れることにした。親友よ、いつもありがとな。インストールが終わるとまず、プロフィールの入力を求められた。既にバカにするスタンスでチンプリを始めてしまっているため、この時点でもう文句が出る。

「なんで趣味の選択肢にハリーポッターとハリー・ポッターが2つもあるんだよ」
「趣味が世界平和のやつと話が合う気がしないし、ふざけて設定してるやつはつまらん」
「K-pop趣味にしてる女子全員弾く機能どこ?」

サーモンランをしている親友に聞き流されながらプロフィールの設定が終わると、チンプリの世界に出ることになる。チュートリアルよこせよ、と悪態をつき試行錯誤しながら操作を覚えていく。わかったのは、このアプリでやること、できることは非常にシンプルだということ。画面に現れる女の子に○か✕をつけるだけ。どうやら、僕が○をつけた女の子が向こうの画面でも僕に○をつけてくれていると会話できるようになるらしい。ということは、僕がやることはただ1つ、なるべく多くの女の子を○と✕に仕分けることだ。当然、僕はこの間もずっと文句を言い続けていた。

「こいつら洒落たもの食べすぎだろ」
「左目だけとか口元だけとか、パーツに分けて写真載っけてるやつなんなん、エグゾディアかよ」
「K-popとシーシャ趣味にしてる女子全員弾く機能どこ?」

ある程度やってみたあと、僕は痛烈に「これは良くない」と感じてしまった。だめだ。このアプリはまるで、僕が他人を採点するような、それが許されているような、そんな気分にさせると、僕は思った。唐突にそう思ってしまった。チンプリをやっている人みんながこんな価値観を持っているわけじゃないのかもしれないけど、自分の知らないところで大切にしている価値観が歪んでしまいそうな気がして、僕は手を止めた。そうして僕は早々にこのアプリをやめることにした。僕がチンプリを始めてからやめるまで、親友はずっとシャケに文句を言っていた。

んー、貴重な経験になったのかな。これからは正々堂々とチンプリに偏見を持って生きていこうと思う。こんな僕には元カノも呆れてため息をつくだろう。ごめんな、結局僕は何にも変わらないまま大人になりそうです。

最後に、ここまで読んでくださった方の中にチンプリをやっている人がいらっしゃったらすみません。うんちだと思っています。


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