後輩の女の子を軸にした最近の話。

この一週間の体の調子は散々なものだった。僕の自律神経は時々迷子になる。

眠れない。朝が来た頃にやっと眠れる。眠るわけにもいかなくて徹夜した日もいくつかあった。朝は頭が働かず、体が動かない。

一番酷かった朝の話をしよう。

その日は一限に小テストがあったから、僕は前日の夜勉強をした。そして、寝ようとした。だけど眠れなかった。そのまま朝が来て、眠れないまま、ぼーっとしたまま、一限の時間を布団で過ごした。なんだか動けなかった。

なにやってんの。勉強したのに。

今学期は何単位落とすかな。友達も流石に笑ってくれないかもしれない。


さて、そんな僕の昨日の話をしよう。

昨日は太陽が登りに登った時間に寝た。8時くらいだったかな。そして、11時過ぎくらいに起きた。それから家を出る準備をした。先輩とキャッチボールをするという謎の予定が入っていた。

シャワーを浴びてモードを切り替える。

いくら呼吸をしても酸素が足りないような気がした。鳩尾のあたりにだけ酸素が巡ってるように感じて、体が重かった。腸が水を吸ったスポンジみたいに僕のお腹に横たわっているように感じた。

シャワーを浴びていると少しずつ思考がクリアになっていき、それと同時に嫌な気持ちになった。

こんな人間が他の人と同じように生活していていいんだろうか。

きっと良くないんだろうな。


先週始まった後輩とのLINEは、なんだかんだ言って続いていた。そういえば何の意味もない会話をするのは好きだったな。こんなに誰かとLINEすることはこの一年くらいなかったから、新鮮な気持ちだった。

彼女との会話は心地良かった。的を射た疑問、質問は僕にとって刺激的だった。要領を得た返答、しっかりとした綺麗な感性、ちょうどいいユーモア。要するにちゃんとした会話ができる人だった。それが、すごく心地良かった。

彼女は僕が想像していたよりも人懐っこい人のようだった。嫌味がなくて、会話に柔らかな人柄が見えた。時には年相応の無邪気さも垣間見えて、飽きることはなかった。

そして彼女との会話に心地よさを感じるほど、僕は自分のことが嫌いになりそうになった。


昨日僕が起床した段階では、後輩との会話は一度途切れていた。トーク画面には、前日最後に交わした会話、「おやすみ」が表示されていた。

先輩とのキャッチボールを終えた後、僕は少し考えた。外に出て人と会っている間、僕は元気でいられる。不調だとは気付かれないはずだ。課題全然提出できてないから仲良い奴にはバレてそうだけど。

自分はなにをしているんだろう。こんな奴が女の子と会話楽しもうとしてていいのかよ。じゃあ課題もできるだろ。

少し考えて、なにも考えがまとまらず、結局適当な質問を後輩のLINEに投げた。「話したい」という気持ちにだけは自信が持てた。


最近、頭に靄がかかる感覚がある。集中力が持たない。難しいことを考えようとすると嫌な気持ちになって、すぐに疲れてしまう。

こんな時、僕はぼーっとするのが好きだ。長い間画面を見ていた後に目を閉じた時のような、じゅわーっと力が抜けて脱力が染み込んでいく感覚がある。きっと脳に負荷がかかっていたんだろうなと、勝手に解釈している。文章を書いている間も、同じ感覚がある。

ぼーっとしている間は、気分が楽になる。上を向くこともないけど、落ち込むこともない。心の温度が気温と同じになって、空気にゆっくりと溶けていくような気がする。

この後輩と会話している間も少し気分が楽になるなって、最近気づいた。無理なく元気モードでいられる。元気でいられる気がする。心地いい会話は、僕を僕の体から切り離してくれる気がした。

すごく自分勝手だけど、話したい。


昨日の僕はそれからも予定があって、その隙間にLINEでやり取りをした。すごくどうでもいい質問を投げただけなのに、ビックリマークや絵文字を使って返事してくれた。僕がちゃんと大学に行ったり課題をやったり出来ていれば何の後ろめたさもなく返事できただろうと思うと、なんだか申し訳なく思った。

会話が続いたまま夜になった。

彼女は夜になると返事が返ってくる頻度が上がる。何でもないような話をした。彼女は実写版のアラジンを見た方がいいと言っていた。僕は見たことがない。

数分おきに会話していたけど、途中で僕が複数のメッセージを連続で送ろうとしていた時に既読がついて、それからはリアルタイムで会話をした。


いろんな話をした。

彼女との会話は、やっぱり心地良かった。

ある程度前のめりな姿勢で質問してくれるから、僕も安心して会話できた。僕は基本的に会話が下手くそだから、相手に話す気があるという安心は大事だ。

なんだか体に酸素が巡っている気がした。調子のいい体だ。


途中、「もどろいさんの恋愛事情聞きたい!」というLINEが来た。

「今彼女さんは?」

いない。

「ふむふむ」
「もしや私と同じで無ですか?」

彼女がテンション高く聞いてくるのが、なんだか後ろめたかった。


それから、またしばらく会話した。

彼女は、同じ名字の人がいて紛らわしいとかなんとかしばらくごちゃごちゃ言って、結局僕のことを名前で呼び始めた。

「僕も名前でいい?」と聞くと、「もちろん!そう呼んでほしい!」と返答があった。


元気になりたいと、思った。



ああ、元気になりたい。

頑張ろうと思った。


しばらくして彼女は眠りにつき、僕は5時くらいに寝れた。起きると8時だったけど、布団でぼーっとしてたら午後から授業に行くことになった。

頑張ろうと思ったって、何にも変わんないんだなあ。


とりあえず疲れてよく眠ろうと思って、今日はジムに行ってきた。

できることから。

ああ、蒸し暑いな。



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