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フラメンコについて その3(天才ギタリスト達)

第3回の今日は天才フラメンコギタリストについて書きたいと思います。

前回、前々回の記事はこちらから。

その2

初回(その1)

近代になるまで、フラメンコにおいてギターは歌と踊りを支える伴奏の位置づけでした。もちろん、今でもタブラオといわれるフラメンコが楽しめるレストランでのステージでは、フラメンコは歌と踊りが中心ですし、ギターがソロで1曲まるまる演奏するということはありません(曲中にはギターソロっぽい部分はあります)。

歌と踊りから切り離されたソロとしてのフラメンコギターは完全にギタリストとしての活動であり、確かな技量や才能、それを認めるファン層が存在して初めて可能となる表現形態と言えるでしょう。

前回の記事に書きましたが、フラメンコギターのソロ楽器として録音が残るのは「ラモン・モントーヤ」というギタリストの録音からになります。1930年代の録音が残っているようなので今から約100年ぐらい前のことです。今回はそれ以降に活躍した天才ギタリスト達のことを書きたいと思います。

スペイン本国でのマニアの評価はどのようなものかわかりませんが、実はフラメンコギタリストとして世界的に評価されている天才ギタリストはそれほど多くはありません。ロックで言えばロックギタリストベスト100など、すぐにランキングが埋まるほどギタリストも多いですし、ジャズもロックほどではないですが、多くのギタリストが活躍し録音を残しています。これはフラメンコがロックなどとは音楽的な商業規模も違うので仕方ないところもあるでしょう。もっともジャズやロックでもギタリスト名義でソロアルバムを残せるとなると、バンド単位よりかなり数は減ると思われますが。。

いずれにせよ、ギターが縁の下の力持ちであるフラメンコ業界でギタリスト単独で名前が売れることはそうそうないということは言えます。

フラメンコで世界的に有名な天才ギタリストを何人か挙げますと、

・サビーカス
・ニーニョ・リカルド
・パコ・デ・ルシア
・トマティート
・ビセンテ・アミーゴ
・カニサレス

辺りになります。ちなみに、カニサレスさんは奥さんが日本人で、このnoteにフラメンコの記事を書かれています。

このリストは天才というだけでなく、CD音源が入手しやすいギタリストで選んでいます。なので上記5人以外にももちろん天才はいます(といっても世界で有名かつアルバムを出せているのはあと10人ぐらいでしょう)。例えばセラニートは世界的に有名ですし、パコ・デ・ルシアと同時代の人で、ある意味パコ以上にキレッキレで素晴らしいのですが音源が入手しにくかったりしますし、日本国内であれば沖仁さんは大変有名で音源も多く出ています。ということで、フラメンコギター愛好家からは文句が出そうなぐらい絞り込んでいることは留意くださいませ。ちなみに、サブスクではより多くのフラメンコギタリストの音楽を聴くことができます。

フラメンコギターをこれから聴いてみたいという方には上のアーティストのアルバムの中から広く何枚か聴くことをお勧めします。が、とりあえず1枚だけ試しに聴いてみたいという方には、パコ・デ・ルシアのアルバムをお勧めします。

パコ・デ・ルシアをお勧めする理由は、古くからのフラメンコの伝統と彼自身が開いた革新の世界がうまく調和しフラメンコの古典として長く楽しむことができるからです。あと、パコはフラメンコ関係者で知らない人は一人もいないぐらいその知名度でも超一流ですから、たとえ気に入らなくても笑、聴いておいて損はありません。

ちなみに、先のリストで最後から2番目に挙がっているビセンテ・アミーゴのアルバムは一聴して古来からのフラメンコの形が大きく変わっていることが分かります。逆に言えば、これはフラメンコなんですか?というぐらい曲調が古典的なフラメンコギターのそれとは変わっています。パコもデビュー当時は同じようなことを言われたという話もあるらしいので、フラメンコの世界もやはり天才が次世代を切り開くという意味では他の音楽ジャンルと同様なんだろうと思います。

パコ・デ・ルシアを聴けば良いことはわかった。じゃぁどのアルバムを聴けば良いのか?という話になります。パコは多作の人で、発売したアルバムは10枚では収まりません。

今回ぐらいで終わろうとしたこのフラメンコ記事ですが、ちょっと長くなってしまいました。この先は次回としたいと思います。

興味を持っていただいた方は、次回の記事にもおつきあいください。

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