見出し画像

フラメンコについて

今日は書評ではなく、個人的に関わりのあるフラメンコについて書きたいなと思います。

noteでもフラメンコについて記事を書かれている方もいらっしゃいますが、その多くが女性でフラメンコの踊りをメインにした記事がほとんどです(男の私がざっと読んできた限り)。フラメンコでは踊りが重要であることはもちろんなのですが、フラメンコは踊りだけではありません。少しでもフラメンコに興味を持ってくれる人が増えることを期待しつつ、ザクっとフラメンコについて語ります。

まずフラメンコでいくつか知って欲しいお話から。

・フラメンコは情熱の国といわれるスペインの代表的な文化ではありますが、スペイン全土で普及する文化ではありません。

フラメンコはインドやアラブ圏から移動・移住してきた古くはジプシーといわれる人々(今はヒターノと呼びます)が伝承・発展させてきたもので、主にアンダルシアなどスペイン南部を中心とした文化様式です。そのためか、踊りも欧州一般にはあまり見ない手首をクルリとひねるようなインド舞踊的な所作などが見られます。

・踊りでバラをくわえません。

これは映画の演出で有名になったもので、踊り手はバラを加えて踊ることはありません。あと、基本的にフラメンコはバレーや社交ダンスとは違い、生活が決して楽ではなかったヒターノの生活に根差した文化であり、格式や文学的な色合いはありません。なので、文字や楽譜に残す、それらを学校で教えるということも元々はありませんでした。全て口伝や師匠の見よう見真似から始まります。もっとも近年フラメンコが芸術として位置付けられたため、学術的・文学的なアプローチも珍しくありませんし、スペインや日本にもたくさんのフラメンコ教室があるのも事実です。

・フラメンコの曲には型があり、どんなにアイデアが溢れていても型は守る必要があります。

フラメンコの型というのは、主にリズムとメロディーです。もちろん、歴代の天才と呼ばれるフラメンコ芸術家たちはこの型を大なり小なり破りながら新しい道を切り開くのですが、そういう歴史的な経緯を除くとフラメンコの型はとても重要です。例えば、ソレアという型がありますが、フラメンコに関わる人達はソレアと聞いて自分なりのソレア感を思い描きます。そしてそのソレアという型は少しずつは個人で違うのですが、おおむね共通認識があるという状態になっています。なので、フラメンコのライブは譜面を基に練習・リハーサルをするなんてことはありません。みんな自分の経験から型を読み取り、相手の動きに合わせてその場で組み立てていきます。これができない場合は経験不足・実力不足とみなされます。

・フラメンコは踊りと歌とギターの3つが基本です。

冒頭でフラメンコは踊り(バイレ)だけではないと言いましたが、他には歌(カンテ)とギター(トーケ)で構成されます。このほか、カホンという箱のような打楽器も使われますが、これはオプションです。日本ではフラメンコと聞くと踊りをイメージする方が多いと思いますが、実際のライブでは歌とギターが居ることがほとんどです(ギターは必ずいます)。歌は本場スペインでは言葉のハンディがない分、結構なレベルでアドリブだったりしますし(日本人には難しいようです)、ギターも型を守った前提で自由に弾いたりします。踊りはみんなで踊るところ以外のソロでは自由に踊れます。とにかく踊り・歌・ギターがそれぞれの演者の経験やセンスでアドリブを繰り出しまくるのがフラメンコです。ちょっとジャズに似ているのかもしれません(ジャズは結構コード譜や譜面があったりしますが)。

次回はフラメンコの中でも踊りではなく、ギターの魅力やフラメンコギタリストについて書きたいと思います。とはいってもそんなに長くは続けません笑。

興味を持っていただいた方は、次回の記事にもおつきあいください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?