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ジャズのレア盤? あのレイチャールズのR&Bジャズ

皆さん、こんにちは!今回もジャズのお話を少ししたいと思います。

今までと趣旨を変えて、リズム&ブルースやソウルミュージックよりのジャズから1枚ご紹介します。

レイチャールズという黒人アーティストをご存じでしょうか?「アンチェイン・マイハート」とか「ジョージア・オン・マイ・マインド」などR&Bの大ヒット曲で有名ですし、伝記映画(「Ray」)にもなるほどのレジェンド。サザンオールスターズの「いとしのエリー」を歌ったりもしていますね。

そんな彼がいわゆるR&Bやソウルではなくジャズをやっていたと聞くと驚く方もいるんじゃないかなと。そうなんです。キャリアの中で一瞬だけジャズをやっていたようです。今日はそのアルバムの紹介です。

レイチャールズのジャズアルバムはこちら ↓

レイチャールズ:The Genius After Hours
       (邦題:ザ・ジニアス・アフター・アワーズ)

Ray Charles

1961年の作品のようなので、ちょうどハードバップなどジャズがぐっと出てきた頃の作品です。この作品の分かりやすい特徴を一言で表現すると「レイチャールズが1曲も歌っていない」ことでしょう。そうなんです。このアルバムはインスト作品でボーカルが居ません(レイチャールズのものと思しき掛け声は聞こえます)。

レイチャールズはピアノに徹していて、さながらピアノ弾きのジャズメン。他のメンバーでもジャズ畑から見た時に著名なジャズメンはいないようです(ベースのオスカーペティフォードは知られていますが1曲だけの参加)。レイチャールズのピアノにドラムとベースという基本構成に、曲によってトランペットやアルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスが参加しています。

演奏力そのものだけで言えば、正直ジャズ畑の人の方が上手いかな?と思えてしまうのですが、このアルバムの良さはそこではありません。そんなことはどうでもよいのです !

このアルバムの良さはずばり、そのR&B感やソウル感にあります。ちなみにここでのR&B(リズム・アンド・ブルース)というのは今のネオR&Bの電子音中心のヒップホップを取り込んだおしゃれサウンドではなく、もっと昔に流行したややブルースっぽい感じでゆったり流れるグルーブ感を持った隙間多めのサウンドといいましょうか。。加えて、なにか米国南部の音楽をルーツとしていることがわかるといいますか(そこがソウル感か?)。。そんな感じです。

アップテンポの曲もあるのでそこはハードバップ期のジャズを模範とするプレーですが、やはり隙間の多さやどこかで流れるR&B臭は、レイチャールズの大いなる特徴であり個性なんだと思います。ハードバップ期に人気があった黒人ジャズピアニストは大勢いますが、このR&B感を持っている人はあまりいないんじゃないかなと思います。バラードやゆったりめの曲では特にR&B感が一層高まります(特に1曲目、2曲目辺りのバラードは最高です)。

全8曲ですがレイチャールズのオリジナルが5曲、カバーが3曲の構成です。どの曲も難しくなく気軽に聴ける構成になっています。ジャズアルバムとはいえ、レイチャールズのアルバムなので、ジャズで見られるアドリブ合戦がほとんどありませんし(まぁコアなジャズファンはそれが聴きたいんですが)、全体の音数もハードバップ期のジャズと比較して少なめです。

完全なジャズとは言い切れないが、どこかR&Bの空気感を漂わせたやや隙間のある南部ソウルを感じさせるジャズ。そんなジャズが詰まっているアルバムです。私個人はこのアルバムを気に入っていまして、ジャズの著名アーティストの難解な作品よりもこちらの方を良く聴きます。もともとレイチャールズが好きだっていうことも影響しているかもしれません。

レイチャールズは実に多作な人で、好きな人でもこの人の作品を全部持っているという人は少ないんじゃないかと思います。長い彼のキャリアの中でもR&B時代が有名ですが、レコード会社移籍後にはカントリー風の「I can't stop loving you」を大ヒットさせたりとその才能はやはりレジェンドにふさわしい。

このジャズアルバムは彼の古巣であるアトランティックから1961年に発売されていますが、59年には既にレコード会社を移籍して60年には「ジョージアア・オン・マイマインド」が大ヒットしています。

そんな中、古巣から発売されている作品なので、勝手な推測ですがレイチャールズがアトランティックとの契約の残りとして未発表アウトテイク集をアルバム用に再編集したものではないかな?と思っています。

しかし、そんな邪推はこのアルバムには一切関係ないぐらい内容は素晴らしい。

このアトランティックと言うレーベルはジャズにも熱心で、ジャズの名盤もたくさん出しています。ジョンコルトレーンの一連の作品が有名ですかね。ロックでも大成功していて、レッドツェッペリンやAC/DCの所属レーベルです。あまりにもロックで成功してしまったためジャズを売る気がなくなってしまったという話もあるぐらいです笑。

興味を持っていただいた方はぜひ聴いてみてください。

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