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午前2時半の現代詩

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記事一覧

【色褪せた現在】

型落ちの世界を補う科学に機械化される内在

電気仕掛けの記号は

大地に降り立つことのない浮遊するゴースト

検知され計算された自然は

アモーダルな認知を

アブダクティブな推論を

萎縮させていく

人は
実在を信頼する
その直観を捨ててまで

電気気仕掛けのゴーストに
世界を
認知を
推論を
委ねるのか

それは
人の
思考が飛躍する動機を
失うことになる

だが

まだ人は
生き生きとした

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【象形物】

文脈の重力は津津と続く
習慣性の法則はセミオーシス

現れが表れに
表れが現れに

条件の反射と
状況の判断と
常識の範疇が

向かってくる向かってくる向かってくる

志向性は現象に留まり
解釈項は解釈物に変わる

対象から事象へ
事象から現象へ
現象から表象へ
表象から対象へ

そのとき
象形物は手だ

手になって
向かっていく向かっていく向かっていく

そして

象形物は
手を解放した

  

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【最後の闇】

ウロボロスはどうして
自分の尻尾に噛みついたんだろう

ふと自分の尻尾が
美味しそうだと
気が付いたのか…?

そもそも
ウロボロスの尻尾って
どんな形やろ?
定説はあるのか?

始まりと終りが繫がることで
永劫回帰となる

その図案がウロボロス

だとするなら

ウロボロスの
頭が始まりで
尻尾が終りってことや

ってことは

過去が頭で
尻尾が未来ってことや

ってことは

未来は
ウロボロス

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【生成と創発の蛸壺】

渦巻く社会は
すれ違うコミュニケーションの
自家薬籠システム

意図の断片は
深く社会に沈殿した

科学・政治・法律という
システムが

蛸壺の中から
ひとの会話に寄生する

知らぬ間に
寄生されていく
コミュニケーション

知らぬ間に
寄生されてる
コミュニケーション

生きている野性は
それに抗い
拒否反応を起こす

ただしそれは

生きている野性が
蛸壺に疎外されることを
意味した

生きて

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【王になる】

その意図に気付くとき
私は私の王になる

たとえば
鏡を見つめ

鬚を剃ったり
化粧をしたり
髪を整えたりしているとき

その鏡に映る
私の姿を通して
私が私の体に関与できるという
意図を発見している

鏡の前で
私の姿を見ている私

鏡の前で
私の姿を見られている私

それら

ふたつの私を
俯瞰している私

この
見る私と
見られている私を
俯瞰している
私の
眼差しこそ
自由意志なのだ

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【鏡像】 (リライト版)

ひとは
鏡の前で
私になる

鏡の中の未来から

過去の姿を見つめることで

私の現在が現れる

鏡像は一種のフラッシュバックだ

それはひとつの構造である

記憶を境目に
離れ離れなる
体とことば

それらを
再び結びつけるために

見つめ合う
鏡像に私と名付けた

それは
メビウスの輪のような
私という概念

鏡像は私の象徴である

                2023・6・17

   

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【さっきまで】

直近の自我は
残念な実存を背負う

さっきまでの自分が

志向性となって
現象にあたる

さしずめ

自我はパイロット
実存は管制室で働く全スタッフ
志向性は各種のセンサー
仮説推論は検知されたデータ
現象はモニターに映る

月の石

状況を把握して
脈略を理解する

状況を叙述して
叙述を状況にする

ものがたりは
ものづくり

現象を観察
表象で推察

現象を叙述
叙述が現象

ものづくりは

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【細胞分裂 〜リズム〜】 

細胞分裂は時の旅
それは脱自的な実践

温度差がスイッチ
プロセスが情報

変動する部分は関係
出来事が出来事に連鎖した

斯くして
存在者は観察者となる

事象に選抜された現象
内声に召喚される表象

重なりつつ重ならない
見えつつ見えていない

浮かばれない想い

時の旅は持続する

          
               2023・11・11

        #現代詩
    

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【未来に触れる】

予感だけでいい
その
余韻だけでいい

残りの月は
未来を連れてくる

因果の中の偶然
虚構の中の理性

物の影
他者の声
手紙の文字

火の中の地平よ
未来の影を揺らせ

知れないことを
知っていた影よ

知っていることを
知っていた声よ

確実な確信は
その何かが
連れてくる背景だった

かねてとなごり

文字は
未来に触れる

                2024・1・16

     

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午前2時半の現代詩

むらくも・第一詩集

         【前章】

      ディスプレイにため息 

         【一章】  

         空を摘む             

       オナジダケドチガウ        

         幻の世界             

          鏡像               

         落し穴           

  

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【ディスプレイにため息】

真実味が生成されていくなかで
現実がおぼろげながら見えてくる

今もその最中だ

エビデンスなんて神の名を騙る
悪魔の囁きにすぎない

反応反射反復反省反映反抗

わたしの違和感は
生命が
宇宙に時間に
そして
言語に対し抗っている証拠なのだ

接触面のあちら側には実在があり
こちら側では現象が起きている

システムとシステムの軋轢
それを関係という

転がってきた石をなぜだか手に取り
ポケットに

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